それに対し、ドイツ・イスラエル協会会長で緑の党の政治家フォルカー・ベック氏は、「気候変動活動家としてのグレタ・トゥーンベリさんの終わりだ。彼女は今後、イスラエル憎悪がその使命となるだろう」と指摘、「緑の党」議員マレーネ・シェーンベルガー氏は「グレタさんはもはや模範ではない」と失望している(ドイツ民間ニュース専門局ntv11月14日から)。

グレタさんは15歳の時、ストックホルムの議会前で気候環境保護と大きく書かれた紙の前で気候変動に対して抗議する写真で有名になった。彼女が引き起こした運動に多くの若者が賛同し、若い世代のアイドルとなっていった。グレタさんのイメージに亀裂が入り始めたのは、グレタさんが父親とあらゆる種類の儲かるPR取引を行っていたことが知られるようになってからだ。

ノイバウアー女史は、「多くのことが崩壊しつつあるのは明らかだ。私たちは今、誰と共通の価値観に基づいた協力基盤を見つけられるか、そしてそれがどこにあるのかを見極めなければならない」と述べている。

グレタさんの変身は、文字通り気候変動運動を二分している。なぜなら、アムステルダムでのデモも含め、左翼のエコロジーグループのかなりの部分で彼女は拍手喝采を受けているからだ。

左翼の反ユダヤ主義は無反省なポスト植民地主義、グローバリゼーション批判、反資本主義によって煽られており、イスラエルは米国の「帝国主義と植民地主義」の手先とみなされている。パレスチナ人とアラブ人、イスラム教徒は被害者、イスラエルと米国は加害者だ、という構図が出来上がっているのだ。グレタさんがその影響を受け、思想が過激化してきたわけだ。

「グレタさんと左派の根深いユダヤ憎悪」というタイトルの記事(11月14日付)を書いたヴォルフ・ヴァイマー記者は、「グレタさんはイスラエル批判のリーダーになりつつある。グレタさんのインスタグラムのフォロワーは1500万人で、彼女の「自由なパレスチナ」写真はX(旧ツイッター)で2500万回閲覧されており、おそらく主に若い視聴者に閲覧されている。それを通じて、彼女は左派のイスラエル憎悪と根深い反ユダヤ主義を全く新しい若いターゲットグループに拡散してきているからだ」と述べている。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年11月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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