中国への投資が減少
加えて習近平が「共同富裕は社会主義の本質的要請である」と強調していることは若手起業家の意欲を大いに削いでいる。彼らは習近平独裁の下での中国経済の将来を悲観しており、個人資産と事業を西側に移転させたいと画策している人も多いようだ。アニマルスピリッツを持った起業家がいなくなれば、投資が停滞して、潜在成長率の低下は避けられない。
また、鄧小平の「改革開放」による中国経済の潜在成長力上昇に期待して積極的に投資してきた西側企業は米中新冷戦のもとですでに中国への投資を減らし始めている。よって、投資の増大に伴って拡大してきた貿易も縮小せざるを得ない。失業率は5%で安定しているように見えるが、若者の失業率が深刻化している。驚いたことに中国国家統計局は若者の失業率統計を23年6月の21.3%を最後に発表中止してしまった。北京大学の張丹丹准教授は実際の若者の失業率は46.5%であると試算している。「臭いものには蓋」では中国統計は内外の信頼を損なう。
このように中国経済は文字通り「内憂外患」であり、先行きは極めて不透明である。中国が24年の政府目標である5%成長を実現するのは極めて困難といわざるを得ない。
(文=中島精也/福井県立大学客員教授)
提供元・Business Journal
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