次にLGBT理解推進法。確かに党の特命委員会で決も採らずに先に進めさせ、法案提出前日に萩生田政調会長に維新・国民と調整させた岸田総裁の手法は、余りに拙速かつ強引で問題がある。が、そもそもこの件は安倍さんが行き過ぎた現状に歯止めを掛けるべく、野党に先んじて抑制的な法案を目指したことが濫觴だ。
そのことを知る萩生田氏は土壇場で維新・国民案を丸呑みし、学校でのこの問題の教育には地域と保護者を参画させることにし、かつ80項目ほどやらねばならぬことがあると述べた。厚労省の「女風呂の利用者は外形的に判断する」との通達や、自民党が立ち上げた「女子を護る議連」が先般、27日の最高裁判決を前に「性別変更に手術要件維持」を法相訴えたことなどはその一例だ。
つまり、LGBT法での岸田総裁は救い難いが、自民党にはまだ救いがあるということ。にもかかわらずネットの保守論客は左巻きと一緒になって岸田自民を批判する。批判は良いが、では「T」での行き過ぎた現状にどう歯止めを掛けるのかの議論が、左にはもちろん右にも欠けていることを筆者は嘆かわしく思う。
むろん岸田総理にも評価すべき点がある。安保三文書を成立させ、防衛費を増やし、日米韓同盟を形にして台湾有事と中露北への備えを整えた。が、それらは安倍・管政権のやり残しで、岸田独自の政策には見るべきものはないし、何より前述の根本問題がある。内閣改造よりも、ここは岸田総理に降りてもらい、萩生田・高市に任せないと「日本は終わってるよ」が現実になりかねない。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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