「アベノミクスの清算」とでも言うと、いまだに根を張っている安倍系の政治勢力、右派勢力の反撃が怖くて、正論を吐けない。鈴木財務相は「日銀とも連携し、緊張感をもって連携する」と、ほとんど意味のない空疎な発言をしました。これが日本の政治のレベルなのです。
株価の変動を大局的に観察すれば、「経済社会危機の発生→金融財政政策の出動→危機の収束→株価の上昇」となる。そこで引き締めに転換すべきなのに、政治的な反対圧力から転換できない。ぐずぐずしてうちに次の危機(リーマン金融危機、コロナ危機など)が発生し、拡張的な金融財政政策がとられている。危機が収束すると、株価が上昇する。その繰り返しでしょう。
各国政府、中央銀行から市場につぎ込まれた通貨供給量は実体経済(GDP)をはるかにしのぐ規模に膨張しています。ありあまったマネーが相場を押し上げ、異変を察知すると、よそへ逃避する。今回もそうでしょう。逃げた投資家が勝ち、情報がないまま逃げ遅れた一般投資家が負ける。
市場関係者、専門家も「米国で加熱していた半導体ブームがしぼんだ。日銀の利上げ(7月末)がサプライズとなり、日本ではパニックとなった」などと語る。こうした大局観のないコメントは参考になりません。もっと大きな構図で、「危機の発生→マネーの供給→膨張→バブル発生→収縮→危機の発生」というくりかえしを考察してほしいのです。
編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2024年8月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。