量子不死仮説という奇妙な理論が、ソーシャルメディアユーザーの間で物議を醸している。この理論によれば、我々は誰もが不死であり、その理由は少なくとも一般的な感覚では理解し難いものだ。一部の科学者は、2030年までに「長寿脱出速度」に到達し、永遠に生きることを選択できるようになると予測している。しかし、量子不死仮説によれば、かつて生きた全ての人間が既に不死なのだという。
この理論の核心は、“人の意識が決して死なない”というものだ。だが、それは我々が無数の黙示録的出来事や絶滅イベントを経験してきた可能性を示唆する。社会学者のジョリ・アーティストは、アメリカの物理学者ヒュー・エヴェレットの「多世界解釈」と関連付けて量子不死仮説を説明している。エヴェレットは、無数の世界や現実が存在し、我々が死ぬとそれらの別の世界に単に移動するだけだと提案した。彼の伝記作家ユージン・シホフツェフは、「エヴェレットは自身の多世界理論が彼に不死をもたらすと固く信じていた」と記している。
ジョリによれば、この理論に従えば我々は「本当には死なない」可能性があり、世界の終わりを何度も経験している可能性があるという。「一つの宇宙で死ぬたびに、あなたの意識は生き残る別の宇宙に転送される」とジョリは説明する。我々は以前の世界の記憶は持たないが、マンデラ効果のような基本的な記憶は残る可能性があるという。「避けられない黙示録が起こった後、あなたは翌日新しい現実で目覚め、次に気づくのはRedditで『ピザハットにTが二つあったのはいつからだ？』と議論している自分だろう」とジョリは例を挙げる。
この理論は多くの人々に衝撃を与えている。「今日はもういやだ」「陰謀論者タイプじゃないけど、不気味なほど納得してしまう」「本当に死ねないという考えが極度に憂鬱で頭痛がする」などのコメントが寄せられている。確かに、この理論は存在論的な不安を掻き立てるものだ。しかし、ジョリは興味深い指摘もしている。「恐竜を絶滅させたとされる小惑星から約6500万年が経過している。その間、他の小惑星が地球を襲わなかったとでも？ 地球は常に破壊されているが、我々の意識は別の平行宇宙に転送され続けているのかもしれない」と彼女は述べる。
量子不死仮説は、科学と哲学の境界線上にある刺激的な理論だ。それは我々の死生観を根本から覆す可能性を秘めている。しかし同時に、この理論が示唆する「永遠の生」の概念は、人々に深い不安と戸惑いをもたらしている。
結局のところ、「死ねない」ことは祝福なのか、それとも呪いなのか。この問いに対する答えは、おそらく無数の平行宇宙の中で、我々一人一人が見出していくしかないのかもしれない。
参考：LADbible
文＝深森慎太郎
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提供元・TOCANA
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