世界中で報告されている未確認生物の中には、印象的な姿が撮影されているものも少なくない。ネッシーが鎌首をもたげた姿を捉えた通称「外科医の写真」や、ビッグフットが去り際にカメラの方を振り返る「パターソン・ギムリン・フィルム」のワンカット、クレーンでつり下げられたニューネッシーの死体などさまざまだ。
これらの写真はUMA(※1)に詳しくない人でも見たことのある人は多いのではないだろうか。こういったUMAを捉えた印象的な画像のひとつに、エメラルドグリーンの海に「巨大なオタマジャクシのような怪物」のシルエットが沈んでいるというものがある。この画像は今から約60年前に撮影され、世界中で物議を醸したシーサーペントの姿を捉えたとされる画像だ。
1964年12月、フランス人写真家のロベール・ル・セレック (Robert Le Serrec)氏 が、オーストラリア北東部のクイーンズランド州フック島ストーンヘブン湾で家族共にモーターボートで航行中、巨大な生物と遭遇したと報告。セレック氏によると、彼の妻がラグーンの底に「奇妙な物体」が沈んでいるのを発見。写真を撮った後にセレック氏と仲間はこの生物を撮影するために水中に飛び込んでみた。しかし近づいてくると、22~24メートルもの巨大な怪物が口を開けて向かってきたため、恐怖にかられた二人はボートの方まで一目散に逃げ帰ったという。頭部にはスリット状の瞳孔がある青白い目があり、全身は黒く滑らかな皮膚で覆われていて縞模様があり、口に歯は確認できなかったという。
彼らがボートに到着した時には既にこの生物は逃げてしまったようだが、セレック氏は怪物の右側に傷が付いているのを見たと報告し、船のスクリューによって負傷したため浅瀬で休んでいたのではないかと推測している。後にセレック氏はインタビューで当時を振り返り、次のように語っている。
「怪物は砂底に横たわっていたので、腹側の色が見えなかった。この生物の体長は約27メートルだった。頭の後ろの胴体は約70センチ程の厚みがあったが、次第に細くなって鞭のような尾になった。体の一般的な色は黒で、頭のすぐ後ろから1.5メートルごとに幅30センチ程度の茶色っぽい輪の模様があるのが確認できた。また、肌はつるつるしていたが、くすんでいた。」(セレック氏)
詳細な証言であったため、この怪物の写真多くの人を困惑させ、一時は「最も信頼できる未確認生物の遭遇事例」の一つに上げられたりもした。
むろん当時から懐疑的な視線も向けられており、専門家を交えて正体についてさまざまな説が上げられていた。中には未確認生物ではなく巨大なウナギだったのではないか、という説も出てきていた。しかしやはり危険な生物にも関わらずかなり至近距離まで接近し、写真も撮影されていることや、申告されたサイズと被写体の遠近感がおかしい事から、怪物のような形をしたプラスチック板を重しとともに沈めて撮影したのではないか、というトリック説も出てきている。
いずれにせよ、セレック氏の「巨大なオタマジャクシ型シーサーペント」の写真は今もUMAを捉えた印象的な写真の一つとして扱われている。
(※1) UMA(ユーマ、Unindentified Mysterious Animal)とは未確認生物を意味する和製英語。未確認生物とは何世紀にもわたって語り継がれてきた物語や伝説に登場したり、また、今日でも目撃例があるが実在が確認されていない生物のことだとされている。物語、伝説、噂話などで語られる生物であるため、科学的な対象ではなく、“オカルト”に分類される。英語圏で、未確認生物はCryptid (クリプティッド)と呼ばれ、これを研究する学問はCryptozoology(クリプトズーロジー、暗号生物学)と呼ばれるのが一般的。
参考:「Daily Star」
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文=加藤史紀(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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提供元・TOCANA
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