参考までに、韓国に亡命した元外交官の高英煥(コ・ヨンファン)氏によると、中国の吉林省にいる数千人の北朝鮮労働者が、未払いの給与に抗議して1月に一連のストライキと暴動を起こしたというのだ。
ところで、少しデータが古いが、韓国統計庁の「2015年北朝鮮主要統計指標」によると、韓国の平均寿命は男性が78.2歳、女性が85.0歳、北朝鮮は男性が66.0歳、女性が72.7歳で、南北の差は男性が12.2歳、女性が12.3歳だったという。南北間に驚くべき寿命の格差が存在するのだ。
朝鮮半島が南北に分断されなかったならば、北の男性寿命も韓国のそれと大きくは違わなかっただろう。それが南北分断後、国民寿命に大きな格差が生じたという事実は、乳児の死亡率、国民の食糧事情などの結果だが、その直接の責任は金日成、金正日、金正恩氏の3代にわたり世襲独裁政権を続けた金王朝にあることは疑いない。北の金王朝は国民の寿命を奪ったのだ。これほど大きな犯罪があるだろうか。それも過去形ではなく、北朝鮮で今も進行している犯罪だ(「北の金王朝は国民の寿命を奪った」2015年12月22日参考)。
世界のキリスト信者の迫害状況を発信してきた非政府機関、国際宣教団体「オープン・ドアーズ」が公表するキリスト教弾圧インデックスでは、北は2002年以来、最悪の「宗教弾圧国」だ。聖書を持っているだけで拘束され、悪くすれば収容所に送られ、強制労働を強いられる。収容所に拘留されているキリスト者の数は5万人から7万人と推定されている。
脱北者のキリスト者、金ヨンソク(Kim Yong Sook)さんは「自分が幼い時、父親が座って首を垂れている姿をよく目撃した。歳をとれば皆あんな風になるのかと思っていたが、実際は父親は祈っていたのだ。北では祈ることは許されないから、祈っていることが分からないように祈らなければならないことを知った」と証をしていた(「北のクリスチャンの『祈り方』」2015年9月21日参考)。
北朝鮮は2023年だけでも47発のミサイルを発射し、軍事偵察衛星を打ち上げるなど朝鮮半島の危機をエスカレートさせてきた。金正恩総書記は韓国の繋がりを完全に遮断し、ロシア、イランといった独裁国家と軍事協力を拡大している。金正恩氏のICC引き渡しは、考えられる最良の危機管理の手段となってきた。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年5月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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