アフタヌーンショーは、テレビ朝日系列で1965年から1985年まで放送されていたワイドショーである。月曜日から金曜日の正午に放送され、当初司会者であった落語家の桂小金治による討論コーナーでの怒り発言などが話題となり、梨元勝の芸能レポーターとしてのデビュー番組ともなり、後年の司会者である俳優の川崎敬三と俳優の山本耕一のやりとり「こうなんですよ川崎さん」「そうなんですか山本さん」は、漫才コンビのザ・ぼんちがパロディ化して漫才にするなど流行語になるほどの人気を博した。
そんな人気番組であったアフタヌーンショーは、1985年10月に打ち切りという形で番組が終了してしまうこととなったが、その原因は番組が仕込んだ「やらせ」であった。
きっかけとなったのは、1985年8月20日に放送された「激写!中学女番長!!セックスリンチ全告白」というコーナーであった。その内容は、東京都福生市の多摩川河川敷で、暴走族およそ60人がバーベキューをしていたところに、”女番長”2人が「ヤキを入れる」と言って女子中学生5人をリンチするという一部始終を隠し撮りで捉えたというものであった。ドキュメンタリーとして撮られたというこの映像によって、番組をきっかけに警察が動くこととなり、暴行を加えた女性2人をはじめ関係者が逮捕されることとなった。
ところが、逮捕された彼女たちの取り調べによって思いも寄らない事実が浮き彫りとなった。なんと、番組ディレクターが取材協力費を関係者たちに払ってリンチするよう指示したという供述がなされたのである。その後の調査により、ディレクターとその暴走族の元リーダーにあたる人物が知人関係であり、リンチは「やらせ」であったことが明らかになったのだ。ディレクターは暴行教唆として逮捕、同時に懲戒解雇となった。
だが、事態はより深刻なものへと発展していくこととなる。「やらせ」であったとはいえ、それは暴行を加えた側に限ったことである。つまり、被害者となった女子中学生5人はこの事情を全く知らなかったのだ。事件の発覚を知り、リンチを受けた女子中学生の母親の一人は福生署へ告訴状を提出した日の夜に電車へ飛び込み自殺したという痛ましい事実も判明した。
一大スキャンダルとなったこの一連の事件によって、当時のテレビ朝日社長が番組生放送で謝罪、番組スポンサーも全社撤退、司会の川崎などが降板を表明することとなった。こうした中でもテレビ朝日では、番組内容を大幅に刷新した上で継続させる動きもあったようだが、これに対してスポンサーやネット局そして視聴者が大いに怒り、さらにはタレントの中でも「出演するとイメージが悪くなる」と言って出演を渋る現象が多くなり、ついに番組終了の前日である10月17日に打ち切りが発表された。
この「やらせ」事件は、1982年に「笑っていいとも!」が歌番組でスタートし徐々に視聴率が低迷していったことの焦りによって起こってしまったものとも言われている。また、アフタヌーンショーを失ったテレビ朝日の平日正午枠はその後、何をやっても長続きしない「死に枠」と言われる状態が長きに渡り続くこととなってしまった。元々が不毛の時間帯であったこともあっただろうが、こうしたいわば刑場跡の忌み地のようにも思えてしまう状況は、1996年にスタートした「ワイド!スクランブル」の開始までのじつに11年間続いていたという。
長きに渡り番組の司会を務めていた川崎は、原稿通りに進行をするなど真面目な人物であったが、番組降板を表明した時が”初めてのアドリブ”となってしまったことはなんともやるせない。
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【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】
文=ナオキ・コムロ(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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提供元・TOCANA
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