カーボンニュートラルの実現に向け、リサイクル可能なプラスチック素材の市場が大きく成長している近年。自動車部品や包装材料など、さまざまな分野でバイオベースのプラスチック素材が活用されている。

今年1月には、米国の自動車メーカーFord Motorがオリーブの収穫時に廃棄される枝、小枝、葉から自動車部品を製造することを目指した研究を進めていると発表した。

各業界で持続可能なバイオプラスチックの導入が進むなか、ドイツの自動車用電線メーカーLEONIは、バイオベースの自動車用ケーブル製品ライン「LIMEVERSE」を発売した。

100%リサイクル可能で、CO2排出量を大幅に削減

LEONIは1917年にワイヤー関連事業の会社として設立され、自動車産業におけるエネルギーおよびデータ管理のための製品、ソリューション、およびサービスを提供するグローバル企業へと成長した。現在は26か国に約95,000人の従業員を擁し、2023年の連結売上高は55億ユーロに達している。

今回、LEONIが発売したLIMEVERSEは、100%リサイクル可能な環境に優しいケーブル。

同製品の注目すべきポイントは、LEONIのエンジニアが開発した特殊な断熱材だ。この断熱材は、原油の代わりに持続可能な原料や再生可能な原料に基づくバイオベースの材料を使用している。

さらに、化学工業の反応器(化学反応を起こす装置)での合成において石油ベースの原材料の必要性を低減する、質量バランスの取れたバイオベースのプラスチックも使用している。その結果、従来の車両ケーブルや充電ケーブルと比較して、CO2排出量を約50%削減することが可能だ(ケーブルの種類によって異なる)。

単芯車両ケーブルから多芯センサーケーブル、同軸ケーブルやデータ伝送ケーブル、充電ケーブル、フラットケーブルまで、LIMEVERSEはあらゆる用途に対応。ポリ塩化ビニル(PVC)化合物に加えて、製品ラインには耐熱性の高いポリプロピレン(PP)とTPE-Uも含まれており、最高125°Cの温度でも問題はないという。