世界各地で山火事が相次いでおり、深刻な被害が懸念されています。

アメリカでは20年前に比べて3倍の頻度、そして4倍の規模で山火事が発生しているとも言われていますが、このような大規模な山火事は地球にどのような影響を与えるのでしょうか。

実は気候変動によって増加した山火事と人間活動のコンボが、過去に大量絶滅を引き起こしていた可能性があるようです。

約1万年前〜約1万2000年前、サーベルタイガー、ダイアウルフなどを含む多くの大型生物が絶滅しました。

科学者たちは長年、これらの絶滅の原因は気候変動か人間活動のどちらかにあると考えていました。

しかし、ロサンゼルス自然史博物館らの新しい研究により、人間活動と気候変動の両方が関係していた可能性が示唆されたのです。

この研究は、2023年8月23日付で科学誌『Science』に掲載されました。

約1万3000年前、コヨーテ以外の動物が突然消えた!

博物館で再現されたタールの池とマンモスの模型
Credit:ja.wikipedia

これまで、研究者たちはサーベルタイガー、ダイアウルフなどの大型生物が絶滅した原因を正確に突き止めることができていませんでした。

しかし、新しい研究では、動物の化石と堆積物を用いた調査により、人間活動と気候変動が連携して絶滅に関係した可能性が高いことが示唆されました。

では、具体的にどのような調査が行われたのでしょうか。

研究者たちはまず、当時の化石を調査するため、カリフォルニア州ロサンゼルスに存在する『ラ・ブレア・タールピット』と呼ばれる天然のアスファルトの池に目をつけました。

これは成分的にはアスファルトと呼ぶのが正確ですが、イメージ的にはタールの池と呼んだほうがわかりやすいでしょう。

こうしたタールの池は表面に水が溜まっていたため、水を求めてやってきた動物が、粘土の高いタールの地面に捕らわれて逃げられなくなり溺れ死ぬ事故がよくありました。

そのため『ラ・ブレア・タールピット』にも多くの太古の動物たちの化石が保存されているのです。

今回の研究チームは、こうしたタールピットから発見されたサーベルタイガー、ダイアウルフ、ナマケモノなどを含む8種の動物の計172個の化石を用いて調査を行いました。

放射性炭素年代測定法を用いてこれらの化石の正確な年代を特定した結果、約1万3000年前にナマケモノの姿消え、その数百年後にはコヨーテを除く他の種も姿を消していたことが明らかとなったのです。

研究の共著者でマーシャル大学の生物学者であるF・ロビン・オキーフ氏は、「コヨーテ以外の動物のほとんど が、”パッ “と消えていた」と語っています。

では、このような短期間で多くの動物が消えた原因は何だったのでしょうか?