天照大神は、日本神話に登場する伊邪那岐命(イザナギノミコト)と伊邪那美命(イザナミノミコト)により産みだされた三神のうちの一神であり、皇室の祖先いわゆる皇祖神ともいわれている。一般的に、天照大神は女神だといわれているが、実は男神であったのではないかという説が存在する。
天照大神は「太陽神」であるが、第一の疑問はここに由来する。というのも、世界各地の神話において太陽神は登場するが、崇められる対象としての太陽神はほぼ男神である。日本だけというわけではないものの、太陽神を女神とする国は極めて珍しい。そのため天照大神は、もともと男神であったのだが後の何らかの事情で女神へ変容していったのではないかと考えられているのだ。
記紀を読むと、天照大神は非常に複雑な性格として描かれている。通常、女神は豊かさなど母性を表す神として描かれるが、天照大神の場合、神武天皇が東征に向かう途中に八咫烏を遣わせる(日本書紀)など「武神」として登場している例も見られる。武神は男神の象徴であるはずだ。
天照大神が女神になったと言われる経緯としては、多くの信仰が融合したことで女神になったという説がある。女神信仰は、女体から成り立つ縄文の土偶信仰に始まり、弥生時代には霊力に優れた女性が各地で指導的役割を果たしたことにもつながっている。そんな中で古代には、日本各地に天照(アマテル)などと呼ばれた男の太陽神が祀られていた。その天照は、大日女(オオヒルメ)と呼ばれる巫女と共に活動していたと伝えられている。天照大神の別名として大日孁貴(オオヒルメノムチ)があるが、本来はそれぞれ異なっており、天照大神と共に祀っていたこの巫女が混合されたのではないかと考えられているのだ。
一方で、意図的に女神へ変更させられたという説がある。日本書紀は、持統天皇の時代までを扱い、持統天皇の崩御後に編纂開始されたといわれる。持統天皇は女性の天皇であったのだが、天孫降臨を命じる神が男では、自身が女性である以上、国を統べる立場として正統性が得られないと考え、そこで天孫降臨を命じた天照大神と女性にしたのではないかというのだ。この説によれば、天照大神のモデルは持統天皇ではないかともいわれているのである。
天照大神は、皇室の根幹にもかかわる重大な存在である。その実態が明確になる時は来るのだろうか。
【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】
文=にぅま(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
提供元・TOCANA
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