カリフラワーの一種であるロマネスコは、緑のつぼみがフラクタルになっている野菜です。
フランス国立科学研究センター(CNRS)に所属するフランソワ・パーシー氏ら研究チームは、10年以上の研究の末、ロマネスコがフラクタル構造になるメカニズムを解明しました。
論文によると、ロマネスコのつぼみが一時的に「開花したつもり」になっていることが原因とのこと。
偽りの開花の「記憶」をロマネスコは持ち無限増殖を引き起こしていたのです。
研究の詳細は、2021年7月9日付の科学誌『Science』に掲載されました。
目次
- ロマネスコ・カリフラワーは自然界に見られるフラクタル
- ロマネスコのフラクタルは偽の開花の「記憶」と成長速度が原因だった
ロマネスコ・カリフラワーは自然界に見られるフラクタル
フラクタルとは、部分と全体とが同じ形から成り立っている図形のことです。
三角形の中に三角形が無限に作られる「シェルピンスキーのギャスケット」などが有名でしょう。
どれだけ拡大しても延々と同じ画像が無限ループするという不思議な動画も、フラクタルの理論によって作られています。
そして、このフラクタルは自然界にも存在します。
氷の結晶や木の枝などがその例です。
そして植物のフラクタルで最も有名なのが「ロマネスコ」です。
多くの植物は、茎の頂点にはつぼみができ、いずれ花を咲かせます。
ところがロマネスコはつぼみが成長しきる前に、別のつぼみがどんどん生まれてきます。
つぼみの発生が短期間で何度も繰り返されることでフラクタルとなり、複数の円錐形が集まったように見えるのです。
ではどうしてロマネスコだけが、このような異常増殖を繰り返し、フラクタルを形成するのでしょうか?