7月7日に投開票が行われた「東京都知事選2024」。現職の小池百合子氏が3選を果たす結果となりましたが、各候補がYouTubeやAIを駆使するなど、選挙戦の手法は4年前と比較して変化を見せているようです。
4年前の都知事選と比較してYouTubeの注目度は大幅アップ
「東京都知事選2024」では、前回の東京都知事選が行われた4年前と比較して、YouTubeへの注目度が高く、選挙戦の1つの舞台として活用している候補者が増えたという印象を受けました。そんな状況を受けて、株式会社エビリーでは、登録者数1000名以上の国内YouTubeチャンネルの視聴データが分析できる「kamui tracker(カムイトラッカー)」を使って、YouTube上でどのくらい都知事選が注目を浴びていたのか分析しています。その詳細を見ていきましょう。
まずは、2024年7月1日時点での登録者数1000名以上のYouTubeチャンネルによる動画本数の推移を調査。4年前の2020年には791万8791本だった動画が、2023年には1446万3329本と約654万本も増加。2024年の終わりにはさらに2023年の本数を上回るという予想が出ています。こうした状況から、東京都知事選以前に、YouTubeというツール自体への注目度があがり、全体的なコンテンツも増えていることがわかります。
選挙期間中のYouTube動画本数、視聴回数が多かったのは石丸伸二氏
「東京都知事選2024」は過去最多となる56人が立候補しています。2013年からインターネットでの選挙運動が認められており、今回もYouTubeやX(旧Twitter)を利用して活動する候補者が多く見られました。56人の立候補者のうち、30名が公式のYouTubeアカウントを持っており、開票結果上位10名の候補者はそれぞれ公式のYouTubeチャンネルを活用していました。
そうした背景には、YouTubeでは広く浸透しやすい短尺の動画と、理念や考えの訴求がしやすい長尺動画をどちらも配信できるという利便性があげられます。“認知度をあげていきながらしっかりと考えも伝えていきたい”という選挙活動と相性が非常に良かったのではないでしょうか。
上のグラフは、2024年6月21日から7月6日までの選挙期間中における注目候補者4名に関する登録者数1,000名以上のチャンネルによる動画の本数と視聴回数の分析結果です。動画のタイトルに候補者の名前が含まれるかどうかで関連動画を判定し、関係ないと思われる動画は除外。複数名が動画タイトルに含まれている場合は、それぞれの候補者に1カウントしています。
これを見ていくと、各候補者に対する注目度や関心度が浮かび上がります。期間中、タイトルに最も多く名前があがったのは、動画本数2885本、視聴回数1億5402万271回で、ともに石丸伸二氏でした。続いて、蓮舫氏、小池百合子氏、田母神俊雄氏の順となっています。演説で「動画を拡散してください」と呼びかけるなど、自ら積極的にSNSを活用していた印象がそのまま結果となってあらわれているように感じます。
動画タイトルに登場した回数でも、石丸伸二氏は「東京都知事選」に続く第2位
同社は、2024年6月21日から7月6日までの選挙期間中、都知事選に関連するYouTube動画で、タイトルに入っていた文言を分析しています。登場回数の多かったキーワードを大きくし、視覚的に表現してみると、最も多く出現したのは「東京都知事選」の1054件。次いで多かったのは「石丸伸二」の796件で、これは動画タイトル内で使用された名詞2万3386回のうち、約3.4%を占めていました。
YouTubeの動画本数や視聴回数、登場回数で圧倒的な強さを見せた石丸伸二氏。当選した小池氏には及ばなかったものの、蓮舫氏を抑えて2位。無党派層の多い若年層では約4割の支持を得ていることがわかりました。YouTubeを通じてこれまで政治に関心がなかった層を巻き込むことで、投票率も前回選挙の55.00%から60.62%と、5.62ポイント上昇しています。
一方、当選した小池氏も、公務との二刀流を掲げ、生成AIを活用してつくった「AIゆりこ」を自身のSNSに登場させるなど、新たな手法を交えながら選挙戦を戦い抜きました。こうした今回の選挙戦を見ていてもわかるように、今後SNSを利用した選挙戦が主流となるかもしれません。
出典元:【株式会社エビリー】
参考元:AI百合子(NHK)
文・ オトナライフ編集部/提供元・オトナライフ
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