普段、地上で生活する我々にとって下水道という空間は馴染みのない場所、やや大げさに言えば想像でしか思い描くことのできない異界のような空間であると言えるだろう。地下であることそのものが異空間であることを印象付け、またこれまで数々の奇怪な話が囁かれてきたのも事実である。
例えば、ロンドンでは、下水道に生息すると言われている人型の異形、通称「下水道ゾンビ」が近年撮影されたことで話題となり、またヴィクトリア朝時代に下水道へ迷い込んだ雌の豚がそこで繁殖をし続け凶暴化し、下水道に放棄された人間の死体をも食べるようになっていったという「ハムステッドの黒豚」という都市伝説が知られているという。
下水道という環境は、我々が決して日常で目にすることのできない不可思議な存在が潜む場所である。そのようなイメージが人々の恐怖感を掻き立てているのかもしれない。そんな、下水道にまつわる都市伝説として最も有名なものと言えば、ニューヨークの下水道に生息すると言われる「白いワニ」だろう。
かつてニューヨークでは、ペットとしてワニをフロリダから取り寄せることが流行っていた時期があったという。その当時、フロリダでは小さな水槽に幼体のワニを入れて土産物として販売しており、観光客がペットとして買って行ったのだという。
ワニは幼体であったため飼い始めは可愛かったものの、成長するにつれて巨大化していき、次第に厄介者扱いされるようになっていき、トイレへ流してしまう飼い主までいたという。そんな中、運よく下水道に到達した生き残りのワニたちは、なんとその場所で繁殖をしていったというのだ。今もワニたちは、ニューヨークの下水道で生息し続けているという。
この都市伝説には、「白いワニ」であるというバリエーションも存在している。下水道という暗闇の中で繁殖をし続けていったワニたちが、次第に視力を退化させ、さらには体も色素を失っていった結果、目の見えないアルビノのワニが生まれるようになっていった、というものだ。
実際、アルビノが生まれるという例はなんらおかしいことではない。問題は、劣悪な環境においてワニが本当に繁殖できるかということであろう。何より、ニューヨークは冬の寒さが非常に厳しいため、そんな土地で体温調整のできないワニのような生物が生き続けるのは不可能であるとの見方も強い。
ニューヨークの下水道は、汚水処理場とは別でハドソン川などの河川と直接つながっている箇所があるという。このことから、生息しているというよりは川から上って下水道に行き着いた個体を偶然に目撃してしまったという可能性も考えられる。実際、トイレに流すということではなく、ペットとして飼育していた個体を下水道に遺棄したという例も無かったとは言い切れないだろう。
このニューヨークの下水道にいるワニの都市伝説は、1930年代にはすでに広まっていたとされており、当時のニューヨーク・タイムズ紙には、若者が下水道でワニを発見し殴り殺したと伝えているという。また、この都市伝説をもとに、2023年にはニューヨーク市に「マンホールの上に乗った実物大のワニ」の彫像が置かれるようになったという。この都市伝説がいかにニューヨークという町の歴史に刻まれているかが見て取れる。
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【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】
文=黒蠍けいすけ(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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提供元・TOCANA
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