最近の研究により、睡眠パターンと認知機能の関連性が明らかになったようだ。ロンドン大学インペリアル・カレッジの研究チームは、自身を「夜型」と認識する高齢者の認知機能スコアが、朝型の人々と比較して高い傾向にあることを発見した。この発見は、人間の体内時計が脳機能にどのように影響を与えるかについて、新たな洞察を提供している。
研究の背景と方法
研究チームは、英国バイオバンクの大規模な長期追跡研究のデータを活用した。この研究には、英国全土から40歳以上の参加者50万人以上が含まれており、そのうち2万6820人が必要な調査と認知機能評価を完了していた。参加者は、睡眠時間、睡眠型(クロノタイプ)、睡眠の質に関する詳細な情報を自己報告形式で提供した。
認知機能の評価には、推論力や記憶力、反応時間といった能力を測るさまざまなテストが使われた。具体的には、流動性知能やペアマッチング、反応時間、そして展望記憶を測るテストが実施された。参加者は、全4種類の認知テストを受けたグループ(コホート1)と、2種類のテストのみを受けたグループ(コホート2)に分けられた。
研究の結果、睡眠型と認知機能の間に有意な関連性が見出された。「夜型」と自己認識する参加者は、「朝型」の参加者よりも認知テストのスコアが高かったのだ。また、中間型の参加者も朝型よりも良好な認知機能を示した。
睡眠時間に関しては、通常の睡眠時間(7〜9時間)がコホート1でわずかに高い認知スコアと関連していた一方で、長時間睡眠(9時間以上)は両コホートで有意に低い認知スコアと関連していた。これは、睡眠時間が短すぎても長すぎても認知機能が低下し、適度な睡眠時間が最も高い認知機能と関連するという、睡眠時間と認知機能の間にU字型の関係があるという過去の研究結果を支持するものである。
研究の意義と今後の展望
この研究は、睡眠パターンと認知機能の関係について貴重な洞察を提供しているが、いくつかの限界が存在する。例えば、一時点でのデータをもとにしているため、睡眠パターンと認知機能の間に直接的な因果関係があるかどうかを明確に示すことはできない。また、睡眠に関するデータは参加者の自己申告に依存しており、教育水準の調整も十分に行われていないなど、いくつかの制約がある。
今後の研究では、より多様な地域からの参加者を含め、客観的な睡眠測定を取り入れることが有益だろう。縦断的研究を行うことで、睡眠パターンと認知機能の因果関係をより明確に理解できる可能性がある。さらに、睡眠時間と認知機能低下を結びつける生物学的メカニズムの探究も重要である。
研究チームは、「長期的には、異なる睡眠型が認知機能にどのように影響するかのメカニズムを探求し、より多様な集団にこの研究を拡大していきたい」と述べている。これらのメカニズムを理解することで、認知機能を最適化するためのパーソナライズされた睡眠や健康に関する推奨事項につながる可能性がある。
この研究結果は、「早起きは三文の徳」という古い格言に一石を投じ、個々人の生体リズムに合わせた生活スタイルの重要性を示唆しているのかもしれない。
参考:PsyPost
文=深森慎太郎
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提供元・TOCANA
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