政治
2024/08/07
フランス・ジヴェルニーで出会う「睡蓮交響曲」:平松礼二展
中心となるのは14点の屏風画。池の青と睡蓮の葉の緑の色彩のコントラストや平面性の魅力を活かした独特のデザインの連作が、力強く鮮やかに来場者の視線を魅了する。
圧巻は、睡蓮の庭を彩る季節を描いた4点の六曲一隻。池に散る桜の花びらと睡蓮が溶けあう花筏のような春と、色濃い紅葉と睡蓮が織りなす秋が一双となり、観るものの心に深く染み入る。そのそばには、燃えるような秋の水面の反映、そして池を照らす煌めく太陽の光を見事に映し取った夏の輝き。
「オランジュリー美術館」の最初のサロンの壁を覆うモネの4作品が、睡蓮の庭の時間を写したものであるならば、平松のこの4作品は、この庭の季節の再現。日本画の巨匠から印象派の巨匠へのアンサーソングならぬアンサーピクチャーのようで、その類稀な共鳴に感動を覚える。
浮世絵などの日本芸術から強い影響を受けた印象派。その代表であるモネの睡蓮に感動し、日本画という手法を通して再現した平松作品は、日本の美意識が印象派の魅力をまとった上で再び日本に回帰したもの。常にジヴェルニーを夢見ている、という平松の想いが強く宿った展覧会は、この美しき村とモネへの素晴らしいオマージュだ。
会期中、フランスに行く機会があれば、是非ともジヴェルニーまで足を伸ばし、平松礼二の想いと、その想いの対象であるクロード・モネの睡蓮の池を、観てほしい。唯一無二の感動を味わえるだろう。
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