僕はそんな若者たちを見て、頼もしく思うと同時に、ある心配がよぎった。日本は自衛隊を軍隊として規定していない。こんな国はほかにない。僕は、かねがね、「自衛隊の位置付けの明確化のために、憲法を改正すべき」と主張してきた。やる気に満ちた生徒たちに、日本の「自衛隊」の位置づけをどう教えているのだろうか。

僕は率直に中野先生にうかがった。「生徒には防衛力ということをどのように教えているのか?」

中野氏は、

紛争の解決手段としての戦争を否定しているが、自衛権は否定されていない。その行使のために自衛隊の存在意義がある。国内には警察があるが、国際社会には警察がない。自らの努力で、国家の主権、領土、国民の安全を守るしくみが必要で、そのための防衛であり、その必要性をここでは教えている。

こう語った。

中野氏の言葉は力強かった。まったくその通りだと思う。

しかし、人の役に立ちたいと、一生懸命学ぶ生徒たちを見て、やはり、「自衛隊」の位置づけを明確にしたほうがよいのではないかと、改めて考えた。意欲ある彼らの未来に陰りがあってはいけない、と切実に思うのである。

編集部より:この記事は「田原総一朗 公式ブログ」2023年9月25日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた田原氏、田原事務所に心より感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「田原総一朗 公式ブログ」をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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