札幌ドーム 写真:Getty Images

 プロ野球・北海道日本ハムファイターズのエスコンフィールド北海道(北広島市)移転により、年間3億円規模の赤字が見込まれているほか、命名権(ネーミングライツ)の募集期間延長で注目を集めている札幌ドーム。今月10日に北海道コンサドーレ札幌の今季ホーム開幕戦(明治安田J1リーグ第3節の浦和レッズ戦)を控える中、日本スポーツ界の関係者が浦和サポーターの札幌遠征による経済効果に言及。Jリーグ公式戦や日本代表戦を開催している国立競技場の赤字額にも触れている。

 札幌ドームは日本ハム移転により、プロ野球公式戦の開催がほぼゼロに。現在の主な収入源はコンサドーレのホームゲーム開催による使用料金や興行時の売り上げであるが、収入額は2022年までと比べて大幅に減少。減収対策として10億円を投入して2万人規模のコンサート開催が可能な「新モード」を導入したが効果は見られず、場内広告数の減少も顕著だ。

 札幌市と道内財界各社が第三セクター方式で出資する『株式会社札幌ドーム』は今年1月、3億円の赤字補填を目的に、年間2億5000万円以上で2~4年間という条件で命名権の公募を実施。しかし公募期限の2月29日17時までに正式な申し込みがなかっただけに、ネット上では「ドーム解体した方が良い」「ドーム維持に血税投入するな」などと“札幌ドーム解体論”が湧き起こっていた。

 こうした意見に反論したのが、『株式会社ミッションスポーツ』の満田哲彦CEO(最高経営責任者)。元電通本社スポーツ局オリパラ室営推部長、元JFAマーケティング担当部長の満田氏は今月7日にXで「3億円の赤字って、悪くない数字では」とし、「3億円ぐらいの赤字は、ホテル税、飲食での税金で回収してるのでは?」と主張していた。

 すると満田氏は札幌対浦和の前日に再びXを更新。「昨日、今日、明日、札幌に来てる浦和レッズサポーターの人数と、何泊して、平均いくら使っているかと、札幌以外の地域から、何人ぐらい、コンサドーレの試合を観に来て、平均いくら使っているかを、調査して、札幌ドーム、コンサドーレ経済効果の一試合を、観てみたい」と、Jリーグ公式戦開催による経済効果に興味を示す。

 また同氏は「スタジアムの役割は、直接ビジネスだけでなく、波及効果も大きい。もちろん、稼働を多くし、集客し、採算を取るように、価値を上げることが大事だが、それこそ、ガツガツ、テナント的チームから儲けようとすると、日ハムのように、移転されるから、アメリカでも、チームには減免して、直接儲けるというよりは、波及効果を狙うのは、それこそ、多くのアメリカのスタジアム・自治体もやっている」と、札幌市が日本ハムの引き留めに失敗した背景も分析。

 「国立競技場の10億、20億赤字問題も、去年今年と、5万人以上の興行も連発してるし、赤字は減っているのでは」と推測すると、「取り壊しとか、子供のおもちゃみたいなことは言うべきではなく、活用、稼働、集客、企画、採算を狙うべき。サッカー界は国立で集客を実際にしている」と、サッカー関係者の努力を強調するとともに、解体論に対して異議を唱えた。