廃棄コスト削減、SDGsの観点での取り組み

 森永製菓が、看板商品のクッキー『ムーンライト』の製造工程で割れや欠けが出てしまった商品を「訳あり」パッケージとして商品化。通販サイトで販売し、反響を呼んでいる。

「メーカー側としても規格外となってしまった製品は廃棄しており、廃棄のためにもコストがかかっています。これを商品として販売することができれば、何重ものコストカットになります。さらに最近では、廃棄を減らすことはSDGsの観点からも前向きに取り組むべき課題とされており、訳あり品の商品化することで企業イメージの向上につながることにもなると思います」(同)

 これは消費者側にしても同じ。いままでは「値下げ品」や「訳あり品」を狙い買いしているとちょっとイメージが悪かったが、地球環境に協力していると思うと、胸を張って購入することができる。

「廃棄ロスをテーマにすると、『エシカル消費』と呼ばれる、意識の高い消費者の関心を集められる。そこまで考えなくとも、同じ品質で安く買えるなら、大半の消費者にとってもありがたいので、結果的に多くの層にリーチすることになると思います」(同)

 とはいえ、なかには本当に「規格外」なのか怪しい商品もあるという。

「アパレル業界でアウトレットブームが起きたときに、商品が足らなくなり、メーカーがアウトレット用の製品を作っていたという事例があります。食品でも『割れせんべい』や『割れチョコレート』といった商品の一部は、完成した商品をわざと砕いているものもあるのではないでしょうか。消費者は賢いのでそんなことは理解したうえで、品質と価格のバランスをよく見てから購入していると思います」(同)

「不揃い品」や「訳あり品」は、その商品がどうして安くなったのかという「ストーリー」があり、それも消費者を惹きつける理由のひとつとなっているようだ。

「日本は今後も値上げラッシュで、消費者は価格に対してますますシビアになっていきます。また、SDGsなど環境への意識も高まっている。このような状況はしばらく続きますので、訳あり商品の市場は今後も伸びていくと考えられます」(同)

逆にいえば、企業も消費者も、見た目を気にしている余裕がなくなってきているともいえる。より本質的な部分での商品力が問われていくようだ。

文・清談社/提供元・Business Journal

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