エレベーター待ち、災害への弱さ、修繕コストの高騰……デメリットは少なくない

 ここで、改めてタワマン住まいのメリットとデメリットをまとめておこう。

「タワマンのメリットの第一は眺望です。100メートルの高さから都心の夜景を眺めればその美しさは格別で、達成感を得られるでしょう。高収入の世帯が多く住民の同質性があり、セキュリティの面でもメリットがあるといえます。

 ただし、メリットを裏返せばデメリットになり得ます。高層で住戸の多いタワマンでは、外出の際に歩く距離が長くなり、その上エレベーター待ちが発生します。朝の出勤の際、タワマンの敷地を出るまでに15分かかるのが日常という物件もあります」

 子育て世帯の場合、子どもだけで外出させるのが難しい点も気にかかる。結果、外出の機会が少なくなりがちな点もデメリットになるだろう。構造面から発生するデメリットもあるという。

「タワマンは地震や突風で揺れやすいことに加え、低層マンションに比べて地震などの災害に強くありません。2019年秋の台風で地下の電気室が浸水したタワマンでは、エレベーターやトイレが使えなくなり自宅で生活することが難しくなりました。隣の部屋や上下階の部屋の音が響きやすい点もよく指摘されます。住戸と住戸の間が鉄筋コンクリートで仕切られている低層マンションとは違い、タワマンは吸音材と石膏ボードで仕切られています。接合部の施工が甘い物件では、隣戸の音が響きやすく問題化しているのです。エレベーターなどの共用設備も多いことや、高層ゆえの外壁修繕の難しさなどから、管理費・修繕費の負担が大きいのもつらいところです」

 インフレの波は施工・修繕費にも当然のようにのしかかっている。修繕積立金で賄いきれなくなれば、一時金の負担も生じてくるだろうと榊氏は予測する。タワマン住まいで味わえる都市生活の先端を行く悦楽と、まさに「地に足をつけた」低層マンションや一戸建ての生活は、まったく異なるものであるようだ。

(文=日野秀規/個人投資ジャーナリスト、協力=榊淳司/住宅ジャーナリスト)

提供元・Business Journal

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