上司は尊敬しなくてもいい

反対に、どんな上司が外れでしょうか。それは、然るべき指摘もせず、優しい言葉しかかけない上司です。

部下に無駄な気を遣うようでは、部下側も困ります。そんなときには「私の感情やモチベーションなど気にせず、駄目なところを指摘してください。求めるものを明確にしていただき、不足があれば全力で埋めにいきます」と言いましょう。

上司と部下はあくまで機能です。上司が偉いわけではないので、上司として機能していないのであれば、それは伝えて然るべきでしょう。

また、誤解しがちですが、上司を必ずしも尊敬する必要はありません。

そもそも上司は部下に目標を設定し、その達成のために進捗をフィードバックする、いわば鏡のような存在です。

塾や習い事の先生は毎週課題を出し、次の授業で評価した上で、また新しい課題を与えてくれますよね。課題に立ち向かうのはあくまで自分自身であり、先生ではありません。

人間は自身の課題、つまり自分の弱い部分と向き合おうとすると逃げてしまいがちです。逃げそうになる気持ちを、弱点を克服することに向き合わせてくれる存在が必要なのです。

だから上司はあなたの目の前にいます。鬱陶しく感じることもあるでしょうが、それは本来自分と向き合うことで起こる感情であり、上司や先生に向けるべきものではありません。

尊敬できるとか好きとか嫌いとかは、あなたが上司に求めるべきことではないのです。

むしろ、「上司は尊敬できる存在でなければいけない、あって欲しい」は「尊敬できないのでこの人の言うことは聞く必要がない」を肯定してしまいます。

それでは本来向き合うべき自分の弱さから目を背け、損をしてしまうでしょう。多くの場合、しっかり上司の言葉を聞き、自分と向き合い、自分と戦い、自分が成長を実感した後に、尊敬の念が生まれるのです。

お菓子を買ってくる上司は実は「ハズレ上司」

残念な外れ上司の典型例を挙げておきます。

オフィスによくお菓子を買ってきてくれる上司を見たことがありませんか。全てとは言いませんが、多くの場合、その上司は外れです。

なぜかというと、マネジメントですべきことに迷い、そのくらいしかやれることがないので、お菓子を買ってくるのです。同様に、やたらと格好付けている上司も見た目やしゃべり方を工夫するくらいしかやれることがないと言えます。

研修ばかりする上司もそうです。部下と向き合うよりも、ただ知識をばらまき、マウントを取ることで自身の存在意義を取りにいくことくらいしか、やるべきことが思い浮かばないのです。

まとめ

部下であるあなたが上司に悩み相談にいったとき、悩みを解決してくれたり、代わりに仕事をやってくれたりする上司もハズレです。

話を聞いてくれた上でしっかり事実情報を整理し、あなたに、「自分で解決するにはどうすべきか、また必要な支援は何なのかしっかりまとめて今日の17時までにもう一度報告してください」と、あなたが成長するために時間を作ってくれる上司こそ当たりなのです。

実際、上司が代わりにやってくれるときは、部下の成長よりも、「面倒くさい、自分でやった方が早い」という上司の都合が優先されているケースが圧倒的に多いものです。

上司と相性が合わないという考えで不幸になる必要はありません。

あなたがしっかり得をすればよいので、損をさせてくる上司であれば、「私に損させないでください」とこの記事を見せてあげましょう。きっとあなたの上司はあなたに得をさせてくれるはずです。

羽石 晋(Susumu Haneishi) 上席コンサルタント コンサルティング部 課長。埼玉大学教育学部を卒業後、人材サービス企業のランスタッド株式会社に入社。支店長職を経て、関西中部エリア、中四国エリアのエリアマネージャー、再就職支援部部長を歴任し、識学に入社。