2代目ホンダ ヴェゼルのマイナーチェンジモデルに試乗したのでお伝えしよう。
2024年4月にMCが行なわれ、グレード構成が変更になっている。エントリーグレードは「G」でガソリンモデルは変わらないが、FFが選択できなくなりAWDの一択。ハイブリッドのe:HEVは「X」と「Z」の2グレードとし、トップグレードだったPlayをZのパッケージオプションに設定。そしてXのパッケージオプションに新たに「HuNT」を設定している。
試乗したのは、そのパッケージオプションの「Z Play」でAWDと「X HuNT」でFFという2モデルに乗った。
HuNTから試乗したが、これがすこぶるしなやかで乗り心地が良い。サスペンションのストロークも長く感じられ、脚がよく動いている印象を受ける。微低速での動きも滑らかで渋さはどこにもない。コーナーで荷重をかけていくとゆっくりとロールをしていき、ダンピングも柔らかく動いているイメージだ。
高速道での継ぎ目のいなしも良く、しなやかにいなしていく。バネ下のばたつきが全くなく心地よい乗り心地になっている。ただ高速域で継ぎ目を超えた時に、タイヤの空洞共鳴が聞こえるのが気になった。タイヤは16インチを装着していて、乗り心地という点は良い方向のサイズだが、見た目をどう捉えるかは好みが分かれるだろう。
サスペンションでは、このダンパーの減衰調整をFFモデルには施しており、うまい具合に調整していると感じた。
e:HEVのハイブリッドも制御の変更を行なっており、市街地走行時にエンジンの始動と停止が頻繁と感じる前モデルに対し、バッテリーの充電量を増やすことでできるだけ、始動回数がビジーにならないように変更している。これはオーナーからのフィードバックで対応したというわけだ。
またハイブリッドにはスポーツモードもあるのでワインディングを走行すると、エンジン音が思いの外、聞こえてくる。通常の速度で走行している時はエンジンの存在はそれほど気になる場面はないが、スポーツモードでやる気を出して走行すると気になった。
それとエンジンの回転と加速のフィールが合わない場面も出てくる。モーターを積極的に使うことでアクセルレスポンスはよくなっているが、充電のための稼働なのか、エンジン回転と加速感のズレは気になる。
高速道で80km/hからの追い越し加速を試すとモーターのアシストでヒュッと加速するので、気持ち良い。巡航中はエンジンで走行している場面でもエンジンの存在は薄く、静かな室内になっている。アクセルを強く踏めば、エンジンとモーターで走行し、レスポンスよく感じられた。
PlayはAWDのe:HEV。これはFFとは異なる乗り味で、クルマ全体が引き締まった印象だ。タイヤも18インチサイズを装着しているので、乗り心地もFFとは違う。そのため硬いと思うかもしれないが、そうではなく、しっかりといなしていく感覚だ。
また、ワインディングでタイトコーナーではノーズの回頭性がよく、ぐんぐんとノーズをインに向けていく楽しさがあり、走りが得意という印象も受ける。そしてFFとの違いではロール感も異なっていて、フラットライドな印象はAWDだ。
FFは荷重が大きくなると、ある領域を超えると大きくロールするが、AWDのサスペンションはそうした動きはせず回頭性の高さのほうが印象に残る。ロールスピードの違いによる感覚の違いかもしれないが。
双方に共通しているのが、市街地走行や高速の巡航走行で車内がとても静かなことだ。今回のMCで、ダッシュボードやフロア、ルーフなどにある吸音材の厚みや配置の最適化を行なっており、それらの効果が静粛性に現れているわけだ。
ヴェゼルはBセグメントのコンパクトSUVで、もう一台WR-Vという同じセグメントのモデルはあるが、WR-Vはエンジン車のみで、位置付けとしてはヴェゼルのほうが上位にポジションしている。そのため、WR-Vよりは上級であることや高級感、静粛性などでもヴェゼルが上位であることは簡単に理解できると思う。
価格差もあるため、自身のライフスタイルやクルマに求めるものによってどちらを選択するのがいいか、考えてみるのも楽しみの一つになると思う。
価格
文・高橋 アキラ/提供・AUTO PROVE
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