研究室のラボで男性器の睾丸の培養に成功したという。近い将来、男性の不妊が大幅に改善される可能性があるのだ――。

■マウスの細胞から男性器の培養に成功

 カップルの不妊はかつてはほぼ女性の側に問題があるとされていたが、しかし今では男性の側に問題があるケースも同じくらいあるともいわれている。

 いわゆる“環境ホルモン”の影響などもあり、世の男性の生殖能力は危機に瀕しているともいわれている中、科学者が男性器を培養したという希望が膨らむニュースが届けられている。

 イスラエルの科学者、ニツァン・ゴネン博士は、マウスから抽出した細胞からこの生殖器を作成したことを先日、発表した。

 イスラエルのバル・イランにある性別判定研究所の所長であるゴネン博士は、男性の生殖能力の世界的な危機に役立ちたいと語り、5年以内に精子を生成できる人間の睾丸を作り上げる展望を思い描いている。

 ゴネン博士は、生後5日目のマウスを使って、臓器のミニチュア版であるオルガノイド(organoid)の精巣を作製した。博士らは精巣環境を再現するためにホルモンと細胞増殖培地を用意しこの精巣オルガノイドを現実のものにしたのである。

男性不妊の解決策になるか!
(画像=画像は「Pixabay」より,『TOCANA』より 引用)

 将来的には、ゴネン博士は人間のサンプルを使ってオルガノイドを作製する予定である。4児の母親でもあるゴネン博士の当面のビジョンは、人間の精巣オルガノイドを培養し、体外で受精可能な精子を生産することであるという。

 そして5年以内にこの技術を完成させ、不妊の男性から採取したごく小さな皮膚片からミニチュアの睾丸を成長させることを目論んでいる。実現すれば男性の不妊の根本的な解決策になることは間違いない。

 英ダンディー大学の生殖医学教授で世界保健機関の精液分析委員会メンバーでもあるクリストファー・バラット氏は「男性の不妊は危機的状況にあり、私たちが何らかの対策を取らなければ、人類は完全に混乱するだろう」と述べている。

 研究によると、1973年から2018年の間に精子濃度は年間1.2%低下し、2000年以降は年間2.6%という驚くべき低下を記録しているのだ。

 同氏はさらに「精子数、つまり射精1回あたりの精子総数が減少しているだけでなく、精子濃度、つまり1ミリリットルあたりの精子数や精子の質(精子の活性)も低下している」と説明する。

 男性の精液の質が改善されなければ、最悪の場合、人類の存続が危ぶまれる可能性があることから、ゴネン博士の取り組みはますます重要になっていることは間違いない。“環境ホルモン”の対策に加え、生殖医療技術の進展にも期待したいものである。

参考:「Daily Star」ほか

文=仲田しんじ

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提供元・TOCANA

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