2100万食超を製造

Chef Roboticsのサイトには実際にロボットが使用されている現場の動画が紹介されており、豆やコメ、葉物、ソースなど扱いに注意が必要な食材も難なく扱っている。また、さまざまな形状の容器にも対応している。

ウェブサイトによると、容器やトレーに盛るだけでなく、トルティーヤやピザ生地に具をのせていく作業もこなせるようだ。調理済みの冷凍食品、生の食品、病院食、機内食、ベビーフードなど多くのジャンルに対応するとしており、食品業界での幅広い活用が見込まれる。

同社のロボットは北米6都市にある食品製造施設で使用されており、これまでに2100万食超の食事の製造で使われたという。

人手不足の解決策

Chef Roboticsによると、米国では食品産業分野における労働力不足は100万人を超えており、また高い離職率が状況の悪化に拍車をかけている。食品産業は人々の食卓に直結するだけに、労働力の確保は逼迫した問題となっており、特に人海戦術を取っている企業にとってはChef Roboticsのロボットはまさに強力な助っ人になりそうだ。

こうした状況は米国特有のもの、と済ませられる話ではない。少子高齢化が進む日本でも人手不足は深刻になっており、すでにあちこちで問題が表面化している。細やかな作業に対応する「賢いロボット」の需要は食品産業界に限らず幅広くありそうだ。

人手不足の解決や生産性の向上に加え、危険やかなりの労力を伴う作業を人間が担わなくてもいいようにするなど、テクノロジーを現場に取り入れる大きな流れは今後加速することが予想される。

Chef Roboticsは今年1月に、米大手ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)が選ぶ、AIを活用した「斬新なテック企業50社」にも選ばれた。

(文・Mizoguchi)