一方、日本は空き家問題が引き続き重要な課題です。先日も北九州市の方と話していた際、街の空き家問題の解決策がないものか、と嘆いていました。私の思う解決策はあります。今日は詳しくは述べませんが、ランドバンク方式で街づくりを根本的に変えることは可能です。日本の都市整備や開発をみると空にも届くような高層マンションもあれば放置された空き家とあまりにも対照というか陰影が強すぎるのです。本来ならば政治家や役人が本腰を入れるべきなのですが、前例主義というか、ノーアイディアなのか変わる気配はありません。

不動産を生業としている者から見ると日本ではタワマンはバンクーバーのように増えないと思います。なぜなら住宅は国内需要が主力ながらも収入がそこまで伸びず、需要の奥行は限定されるからです。一方、物件の値上がりは続く可能性は高いと思います。理由は建設費の高騰が続くからです。よってコストが上がり過ぎると需要が価格上昇に追い付けなくなるのでタワマンは増えなくなるとみています。ならば中古のタワマンの価格も一定水準以上になりにくいとも言えます。

ただし、唯一の例外は先日の話ではないですが、東京が本格的な国際都市と化せば、タワマンは外国人御用達住宅という売り方もあるでしょう。私は違和感はないですが、多分、多くの日本の方は嫌でしょうね。外国人がマンション投資をする理由があるとすればそのリターンというよりヘッジだと思います。つまり安全なところに住むところと資産をとりあえず確保しておくという発想で、私が金(ゴールド)がいいね、というのとまったく同じ発想です。海外にはそれぐらい様々なリスクが付きまとっており、日本は「安全・安心・安定・第一」なのであります。

タワマンは維持管理費が通常マンションより数割高く、おおむね管理費と修繕積立金で月3-5万円ぐらい要します。ただ、タワマンにおいて本格的な大規模修繕を迎えたものがまだ少なく築後20-30年たった時を想像する必要はあるでしょう。そもそもそんな巨大建築物でいったいどんな人が管理組合のリーダーシップを取りたいと思うのでしょうか?私は管理にある程度熟知しているがゆえにもっともやりたくない任務であります。

ところで東京に行った際、馴染みの不動産屋に「(不動産市況は)どう?」と声をかけると「高くなりました!」と。この不動産屋は戸建てや土地の売買の扱いが多いのですが、取引実勢ベースでの坪単価はこの5年で2割以上上昇、かつてよく見かけたパワービルダーがお得意の広い敷地を数分割して3階建ての住宅を数戸建てるという案件も見つけるのが困難とのことでした。くだんの不動産屋の守備範囲は狭く、ごく限られたエリアの話ですが、パワービルダーの住宅でさえ億円の価格帯が迫ってきているといわれるとなるほど東京の不動産は確かに高くなったという印象はぬぐえません。

タイトルの「そこまでして億ションが欲しいのか」ですが、私は正直、わからないです。私は物欲がないので狭いアパートでも全然OK。新宿区にある自社で建てた木造2階建て6部屋のアパートの一室で先日も次の入居者の為の準備をしながら「これは陽が入り明るいし、こざっぱりしたいい部屋だよなぁ、自分でも住める」と思いにふけっていました。地べたについている住宅はしっくりきて良いものですよ。

不動産デベロッパーがこんなこと言うと怒られますが、高いお金を出してコンクリートの箱を買うなら私は小さくても環境やコミュニティがあった方がいいと思います。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年7月30日の記事より転載させていただきました。