水産系廃棄物(ホタテ貝殻)を再利用した消波ブロック/テトラポッド「HOTATETRAPOD(ホタテトラポッド)」が発表されました。

株式会社TBWA HAKUHODO、北海道猿払村、猿払村漁業協同組合、株式会社ササキ、清水建設株式会社、甲子化学工業株式会社、株式会社不動テトラ、日本国土開発株式会社によるプロジェクトで開発された、「砂不足問題」解消を目指したテトラポッドです。

砂不足問題とは?

コンクリートの製造や住宅、道路、インフラ整備などのさまざまな用途で使用され、経済発展には不可欠な資源の1つとなっているという「砂」。しかし、砂を掘り出すことで、海岸などの侵食や塩害、高潮対策の喪失を引き起こしたり、生物や環境へ影響を与えたりすることが危惧されているといいます。

TBWA HAKUHODOによると、都市開発などに向けて、世界では年間約500億トンもの砂が消費されているといいます。さらに、国連環境計画(UNEP)【全文英語】は「気候変動の影響を受け、世界の砂が枯渇の危機に瀕している」と警鐘を鳴らしています。

砂の使用を50%削減

従来の海岸・河川などの護岸や水制に使用するコンクリートブロック「テトラポッド」は、砂から作られています。

新しく開発された「HOTATETRAPOD」では、北海道猿払村のホタテ貝殻を再利用し、コンクリートの細骨材として使われる砂の50%を、ホタテの廃棄貝殻を粉砕したシェルサンドに置換することで、砂の使用量削減を実現したといいます。

猿払村では、年間2,480トン(2023年度)の消波ブロックが製造・設置されているといい、この取り組みが普及することによって、猿払村だけでも年間431トンの砂の使用を削減することが可能となるそうです。

貝殻のリブ構造をデザインに反映することで、ブルーカーボン(海中の炭素を吸収すること)固定量の増加に配慮したデザインになっているといいます。さらに、初期強度の向上もみられるとのことです。

オホーツク地方の海岸に設置予定

このHOTATETRAPODは、猿払村で開催された「第50回さるふつ観光まつり」で初めて公開したのち、北海道猿払村に記念碑として設置。

2024年度以降は、北海道オホーツク地方の海岸に設置をするための体制作りをおこなっていくそうです。

本プロジェクトチームは、ホタテ貝殻を砂に代わる重要な資源として捉え、これまで培ってきた建築技術を生かし、サステナブルな取り組みをより一層推進していくといいます。

<参照>

世界的な「砂不足問題」解消に向け、廃棄貝殻を砂の代替素材に。ホタテの廃棄貝殻からできたブルーカーボンテトラポッド「HOTATETRAPOD(ホタテトラポッド)」を発表。砂の使用量が約50%も削減可能に