OpenAIのChatGPTをはじめ、近年はさまざまなLLM(大規模言語モデル)が登場している。先月、日本ではMetaのオープンソースLLM「Llama 3」をベースとした日本語LLM「Llama-3-ELYZA-JP-70B」が公開された。また今月、Metaが最新版モデルの「Llama 3.1」を発表し、大きな注目を集めている。

世界各国でLLM開発が加速するなか、タイの不動産開発業者MQDCの親会社であるDTGOは、香港に本社を置くAIソフトウエア企業SenseTimeと提携し、タイ語、中国語、英語の3か国語に対応するLLM「DTLM(DTGO Large Language Model)」を開発した。

タイ語、中国語、英語に対応する「DTLM」

DTLMは、タイ語、中国語、英語の3か国語にわたる多言語要件を効率的に満たすように設計されLLMだ。翻訳だけに頼らない機械学習テクノロジーを使用して開発されており、テキストの読み取り、質問、リアルタイムでの自然で迅速な応答など、真にローカルな生成AI体験を実現する。

タイ語の質問に正確かつ徹底的に答えるために開発された同モデルは、それぞれの言語で高いパフォーマンスを提供しながら、タイ現地の言語と文化の理解をサポート。LLMの能力を測定するベンチマーク「MMLU」にて、ほかのタイ語LLMよりも高いテスト結果を達成したという。

「SenseNova」シリーズをベースに採用

DTLMは、SenseTimeの主力製品であるLLM「SenseNova」シリーズをベースに構築されている。

今月に上海で開催された「2024年世界人工知能会議(WAIC)」で、SenseTimeは最新版の「SenseNova 5.5」を発表。SenseNova 5.5の大幅に強化された言語機能、広範な知識データベース、高い情報密度を活用することで、DTLMは自然で応答性の高いリアルタイムでの会話を行えるようになる。

まずは法人顧客に焦点を当てる

DTGOはAIソリューションでタイの顧客を支え、さまざまな分野の成長を促進。タイのAIエコシステムをさらに充実させ、新たな機会と可能性を切り開くことを目指している。

同社はまず、法人顧客に焦点を当て、コスト効率の高い使用方法を提供し、経費を効率的に管理できるように支援する姿勢だ。

DTLMはさまざまな方法で適用可能だが、特に垂直産業は内部組織データをLLMと組み合わせて使用すれば、内部知識に関する質問に効果的に回答できるようになるという。また、大学図書館などのサービスや外部アプリケーションの開発にも対応している。