多くの人がハーフ顔を魅力的だと感じるのは、人種の違いに伴う「顔の特徴」が平均化されるためだと言われています。
つまり人間は、顔においては極端な特徴は削られている方が魅力を感じるのです。
では、声の場合はどうなのでしょうか?
カナダのマックマスター大学(McMaster University)に所属する心理学者ジェシカ・オストレガ氏ら研究チームは、声の魅力度に関する調査を行い、声は平均化されると魅力を感じなくなると報告しています。
顔とは異なり、声は特徴が強い方が人々に好まれる傾向があるようです。
人気の声優さんなどは、デビュー前によく声が変わっていると言われていたと話したりしますが、人は特徴的な声にこそ魅力を感じやすいのかもしれません。
研究の詳細は、2024年5月7日付の学術誌『Scientific Reports』に掲載されました。
「平均的な顔」は魅力的に見えるなら「平均的な声」も魅力的なのか?
「ハーフ顔は美しい」という認識は、私たち日本人だけでなく、人種を越えて共通のものです。
実際、2024年の米ニューメキシコ大学(UNM)と香港中文大学(CUHK)の共同研究では、ハーフ顔が単一の人種の顔に比べて、アメリカ人からもアジア人からも魅力的に見られると分かりました。
ハーフ顔は人種の垣根をこえて「魅力的に見えやすい」と判明、その理由とは?
しかもハーフ顔は、「知的で信頼性が高く、仕事でも成功しそう」などと社会的な評価も高くなっていました。
研究者たちは、ハーフ顔が魅力的に見える理由について、「顔の知覚における”平均効果(average effect)”に起因する可能性がある」と指摘しています。
つまり個々の顔に見られる強い特徴はネガティブな要素として認識されやすく、これが平均化によって薄れることで、多くの人から魅力的に見られやすくなるというのです。
では、このような平均化は、顔だけでなく「声」の特徴にも良い影響を与えるのでしょうか。
2010年のグラスゴー大学(The University of Glasgow)の研究では、「声が平均的だと魅力が増すかもしれない」と報告されていました。
しかしその効果を再現した他の研究は存在せず、真相は謎のままとなっています。
そこで今回、カナダのマックマスター大学(McMaster University)のジェシカ・オストレガ氏ら研究チームは、平均化された声を人々がどのように感じるのか調査することにしました。