バイクの乗り方は人によってさまざま。毎日乗っている人(通勤・通学・仕事等)も、たまにしか乗らない人(ツーリング等)も、日常的な安全点検・整備が重要だ。出かける前に、給油や洗車のついでに、愛車の状態をチェックするようにしよう。

チェックしておきたい「10の点検項目」

バイクは日常点検を実施することが道路運送車両法で義務付けられている。走行距離や運行時の状態などからユーザーが判断した時期に、自分自身で行なえる簡単な点検をしなくてはならない。とくにバイクは乗用車と比べ「走りを楽しむため」に造られたものが多く、そのぶん負荷もかかりやすいため、点検整備の重要性は高い。ちょっとした異常が原因で操作を誤り、事故に繋がる…。ということだって大いにあり得るのだ。“あの時にしっかりと整備しておけば…”といった後悔が残らないよう、普段から愛車の調子に気を配るようにしたい。もちろん、乗車前に毎回“燃料ヨシ! オイルヨシ!”と気合いを入れて点検する必要はない。乗り慣れてくると、ちょっとした異変がわかるようになってくるからだ。とはいえ乗り始めでそれに気付くことは難しいので、はじめは各部を指さしで点検するぐらいの気持ちでやっておけば安心だ。
点検の基本は「ネン・オ・シャ・チ・エ・ブ・ク・トウ・バ・シメ」で覚えておくと便利。クラッチなどは運転中でも異常に気付けるが、オイルの量やブレーキランプは目で見て確認しないとわからないため、乗り慣れてしまった人も定期的に確認しよう。

CHECK①「ネン」/燃料

今ではほとんどが燃料計を装備していると思うが、付いてない車種の場合は中を見て確認するようにしよう。

「ネン」は燃料のことを示す。キーをオンにして燃料計や残量警告灯がついているバイクは燃料の残量を確認しよう。もし燃料計がついていないバイクは燃料口を開けてタンクの中を見て確認する必要がある。慣れてくると残量でおおまかな残りの走行距離が分かってくる。またリザーブタンクのあるバイクは事前にコックの使い方を確認しておくようにしよう。

CHECK②「オ」/エンジンオイルの量

エンジンオイルの量のチェックは、小窓で確認する。ゲージを目安にしてチェックするようにしよう。

「オ」はオイルを示す。エンジンオイルは消耗品だ。日本は温度や湿度の環境が厳しいので、走行距離よりも期間を基準にして、半年に一度はエンジンオイルを交換するのがおすすめだ。オイルの残量はエンジンに窓がついているものもあるので、バイクを水平にして量を確認しよう。エンジンの寿命を左右する大切なオイル。定期的な交換を心がけるようにしよう。

CHECK③「シャ」/タイヤの空気圧、亀裂、損傷、異状摩耗、溝の深さ

タイヤの磨耗具合、空気圧などは安全な走行にもっとも重要。乗る前には必ずチェックしておきたい。

「シャ」は車輪周りを示す。スリップサインが出ていないか、タイヤの空気圧は適正か、異物などが刺さっていないかを確認するようにしたい。エアゲージでこまめに空気圧の確認をするのがお薦めだが、エアゲージを持ってない場合は、ガソリンスタンドやバイクショップなどで確認を行おう。タイヤは消耗品。安全にも直結するので、日常的な点検を心がけておきたい。

CHECK④「チ」/チェーンの緩み、たるみすぎ、はりすぎ

チェーンが弛んでいると様々なトラブルが発生する。走行中に万一外れると命に関わるので注意しておきたい。

「チ」はチェーンを示している。チェーンは下側のラインを手で押し上げ、2~3cmの範囲で動けば適性。適性範囲以外の伸びがある場合は早めにチェーンの調整を行おう。またシールタイプのチェーンが主流なのでグリスは専用の物を使用する。適正な張り具合はスイングアームや取扱説明書に書かれている。スプロケットが摩耗して歯が鋭くなっていないかも見ておこう。

CHECK⑤「エ」/エンジンのかかり具合・冷却水

冷却水のリザーバータンクを備えていないモデルもあるので、チェック方法は取説などで確認するようにしたい。

「エ」はエンジンのこと。エンジンのかかり具合をチェックするとともに、始動しているときには異音がしないかどうかを確認しよう。また表面にオイルのにじみはないかなどをチェックしておきたい。なお最近のモデルは水冷式エンジンが多いので、冷却水の量のチェックも必要。量が十分に足りているかどうかなども点検窓でチェックするようにしよう。

CHECK⑥「ブ」/前後ブレーキ液の量

ブレーキフルードの量を点検窓で見て確認し、減っているようならパッドの溝が減りすぎていないかチェック。

「ブ」はブレーキを示す。ブレーキフルードはタンクの点検窓で残量を確認しよう。バイクのブレーキはクルマと違い前後独立して機能しているので、前後両方のタンクを確認しておくようにしたい。量はゲージの範囲内であれば問題ない。また大きく減っている場合は、ブレーキパッドなどに重大な不具合が生じていることもあるので、すぐにバイクショップに持ち込むようにしよう。

CHECK⑦「ク」/クラッチレバーの遊び

クラッチレバーが正常に機能しないと、最悪は動かすことができなくなる。出先で困らないように日頃からチェックしておこう。

「ク」はクラッチレバーを示している。クラッチを切り始めるまでの遊びの量が適切かどうかをチェック。またレバーの動きが鈍かったりすると、クラッチワイヤーがほつれている可能性がある。ワイヤー方式の場合、動きが渋い場合はグリスなどを注入すると動きがスムーズになる。市販されているグリススプレーなどを注入して整備するようにしよう。

CHECK⑧「トウ」/灯火装置および方向指示器

ヘッドライトが切れているのは日中はなかなか気づきにくいもの。乗る際にチェックしておくようにしたい。

「トウ」は灯火類のことを示す。ヘッドライト、ウインカー、ブレーキランプが正常に点灯するか確認しよう。ヘッドライトは晴天の下などわかりにくい場合は、ライト前に手をかざすと光が視認しやすい。テールランプも乗ったまま振り向けば確認できるので、出発前に習慣として確認することをおすすめしたい。ランプを交換できる工具をそろえておけば万一の際にも安心だ。

CHECK⑨「バ」/バッテリーのチェック

「キュルキュルキュル…」というセルモーターが回る音がしてからエンジン始動までが遅い場合、バッテリーが弱っている証拠だ。

「バ」はバッテリーのこと。まずはバッテリーの取り付け位置を知っておくようにしたい。バッテリーは液の量が訂正範囲内にあるか確認する。最近のバッテリーはMFタイプ(外側からバッテリー液の残量が見えないもの)が多いが、その場合は、セルスターターが勢いよく作動していれば問題ないので目安にしておこう。なお冬の間は弱りやすいので、特に注意するようにしたい。

CHECK10「シメ」/締め付け

バイクは走行中の振動などでボルトやネジなどが意外と緩みやすい。定期的にチェックするようにしよう。

「シメ」は締め付けを示す。バックミラーやランプの取り付け部分など中心に、ゆるみがないか確認する。小さなネジなどは振動でゆるみやすいので脱落防止に気をつける必要がある。また、レバーやハンドルのボルトやアクスルシャフトなど、自分で調整するために外すような場所は緩みやすい。スマホホルダーなどの後付けパーツも意外と緩みやすいので注意するようにしよう。