喝破道場とは、香川県さぬき市鴨庄(かもしょう)の日盛(ひもり)山山頂に残る廃墟である。この道場跡は、建造時期がはっきりしていないものの、少なくとも1974年~1978年の空中写真では所在が確認されていないため、早くとも70年代末期に建てられたと考えられている。90年代にはすでに不使用の状態となり、2002年ごろにはすでに廃墟としての言及がなされていたようである。

 この喝破道場は、現在香川県内有数の心霊スポットとして知られている。素行不良の少年たちを更生するための教育施設として建てられたものの、あまりに厳しい訓練などに耐えられなくなった少年たちが自ら命を絶つということが非常に多かったと言われている。

 いわくとしては、屋上から身を投げた少年がいるというものや、地下にある風呂場で少年たちの集団自殺があったといったものがよく知られていることから、屋上や風呂場での幽霊目撃が多いと言われている。また、精神的に病んだ少年が入所する少年たちや職員たちを手当たり次第に殺害していったという大量殺人の現場になったとの噂もある。

 これらにはバリエーションが多く存在しており、飛び降りも集団で行なわれた、あるいは体罰の末に職員が少年たちを殺害したといったものもある。また、入所していたとある少女が抜け出し、その末に力尽きて死亡、あるいは逃亡中に崖から転落死したという話も囁かれているという。こうした何らかの重大な出来事が起こったことによって、施設は閉鎖を余儀なくされたのではないかと言われているのだ。

 少年たちが犠牲となった陰惨な事件あるいは事故の舞台として知られるようになった喝破道場であるが、実のところこの経緯自体、事実とは異なっているようだ。喝破道場は、正式名「修養団日盛山道場」と呼ばれており、地元出身の剣道師範池田幸太郎らによって開かれた剣道の道場であり、かつては地元の高校生の合宿所としても使用されていたという。つまり、不良少年たちを更生する施設ではなかったのだ。

 実は、同じく香川県の高松市には、「公益財団法人喝破道場」という同じ名前の道場が実在している。1974年に禅道場として発足され、現在は不登校やひきこもりをはじめとした人々の自立塾として現在も事業展開されている。

 お解りの通り、剣道の道場だったと言われる喝破道場の「更生のための教育施設」という設定を、この禅道場である喝破道場がほぼ有していることがお解りだろう。さらに、前述した少女の事故死については、実は禅道場の喝破道場でかつて実際に発生しており、1988年に女子中学生が岩場から滑落して死亡するという事故が当時大きく報道されたという。

 これらのことから考えられるのは、剣道の道場であった日盛山道場と禅道場である喝破道場とが、道場という共通項ゆえに混同されてしまったのではないかということだろう。山頂の道場は、そもそも資金繰りが悪くなったために閉鎖に至ったと言われているが、廃墟となってしまった為にあらぬイメージを生み出すこととなってしまい、それが実際の少女の事故と実在する喝破道場とが結び付けられ、心霊スポット「喝破道場」のストーリーが形成されてしまったと言えるのかもしれない。

 喝破道場廃墟は、現在でも事件の現場となった心霊スポットとして紹介され、各所に隈なく落書きがなされるような場所となってしまっている。いわば勘違いによって因縁深い場所として広まってしまったという事情を見ると、なんとも遣る瀬無いものを感じてしまう。

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文=黒蠍けいすけ(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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提供元・TOCANA

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