NHK受信料は組織運営のための「特殊な負担金」

 赤字経営が続く見通しとなり、大幅な経費削減策の一環として中期経営計画では「コンテンツの総量削減」を掲げているが、23年度決算報告の「ジャンル別番組制作費」によれば、スポーツが503億円(16.1%)、ドラマが315億円(10.1%)、エンターテインメント・音楽が226億円(7.2%)と合計で1044億円(33.4%)にも上る。スポーツ番組の制作費には国内外のスポーツ運営団体等に支払う放映権料が含まれているとみられ、たとえば大谷翔平選手(ロサンゼルス・ドジャース)がプレイする米国メジャーリーグベースボール(MLB)に支払っている放映権料は年平均約8000 万ドル(約124.6億円)に上るとの試算も公表されている(関西大学名誉教授・宮本勝浩氏「2024 年ドジャースにおける大谷選手の経済効果」より)。ちなみに民放キー局・日本テレビの21年度の番組制作費は全ジャンル合計で845億円となっており、NHKの制作費の潤沢さがうかがえる。

「公共放送局であるNHKが国民から徴収した受信料を1000億円も使ってドラマやバラエティーなど娯楽番組をつくらなければならない理由はありません。民放放送局への事実上の民業圧迫でもある。受信料収入が落ち込むので経費削減に取り組むというのなら、まずこうしたジャンルの番組制作をやめるべきでしょう。しかし、そうすると大量の余剰人員が生まれるため、そこには手を出さない。結局NHKの最優先の目的は巨大な組織の維持なので、それに反することはやらないです」

 かねてからNHKは受信料について「視聴の対価」ではなく組織運営のための「特殊な負担金」であるとの見解を示している。07年に総務省の「公平負担のための受信料体系の現状と課題に関する検討会」で出された中間報告書にも

<受信料は視聴の有無に関わらず国民が公共放送たるNHKの業務の維持運営のための経費を負担するもの>

と記載されている。

(文=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

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