2023年5月の新型コロナウイルス感染症に関する水際対策緩和以降、日本各地で多くの訪日外国人旅行者を見かけて、インバウンドの回復を実感しているという人は多いかもしれません。

一方で、2024年4月における日本発の海外旅行者数は、日本政府観光局(JNTO)の推計によると、コロナ禍前の2019年と比べて46.7%の減少を示し、回復したとはいえない状況です。

そこで、株式会社JTB総合研究所は、旅行に対する日本人の気持ちについて意識調査を行い、結果を発表しました。

「生活に余裕がない」と感じる

景況感について最も多かった回答は「家計に余裕はない」の48.4%。趣味や旅行などに関しても、「生活費も、趣味や旅行も節約している」が28.1%と、生活者の気分は全体的に節約モードだといいます。

反対に、「普段の生活は切り詰めるが、趣味や旅行など自分の好きなことにはお金を惜しまない」が17.3%と、旅行や趣味などにお金をかけている人は一定数いるものの、その割合は低いようです。

国内旅行への意欲は?

年内に国内旅行を予定している人は、全体の48.3%で、旅行の目的として最も大きかった項目は、42.4%の「食事、地域の味覚を味わう」でした。

同社は、「多くの旅行者にとって、旅行先の味覚を味わうことは旅の重要な要素と言えます」とコメントしています。

「ホテル価格の上昇」や「観光地の混雑の影響」などといったオーバーツーリズムの問題をめぐって、性別や年代によって懸念点が異なるようです。

これらの旅行への影響度合いを年齢や性別ごとに比較してみると、30代の女性層で「ホテル価格の上昇」で最も影響が大きかったといい、58.2%でした。

「観光地混雑の影響」に関しては、男女ともに60歳以上の熟年層への影響が大きいようです。

海外旅行への意欲は?

年内に海外旅行を計画している人は全体の8.7%でした。なかでも、20代が15.5%と平均よりも高い割合という結果に。

海外旅行の年間平均旅行回数に関しては、コロナ禍前と比較すると、全体では0.05回の減少でした。最も回数が減少したのは、男性の60歳以上です。

円高が進めば…?

今後、海外旅行へ行くきっかけとなりそうなことについて聞くと、全体で最多となったのは32.2%の「円高が進めば」でした。

反対に、訪日旅行客にとっては、円安の進行が日本に訪れるきっかけとなっているのかもしれません。