山の斜面から石が転がり落ちてくる落石は、大雨や地震などで地盤が緩くなると発生しやすくなる。その威力は斜面の傾きと石が転がるスピードに依存し、直撃した人やものを大破するほどの大惨事になることも少なくない。こうした落石の恐ろしさを実感させられる事故の映像がネット上で拡散されて話題となった。
映像は、ペルー・リマ県サンマテオの道路で2024年3月2日にドライブレコーダーに記録されたものだ。
複数台のトラックが道路を走っていると、山の斜面から巨大な岩が転がり落ちてきた。前を走るトラックは岩に直撃され、破壊されてしまった。落石は続き、ドライブレコーダーを搭載したトラックも岩におし潰された。衝撃音が聞こえる。画面が見えない状態が続いた後、岩の破片が散乱した道路が映し出された。
この後、道路は封鎖され、国家警察が事故現場を調査し、4時間かけて瓦礫の撤去作業が行われた。現地の報道によると、最初に大破したトラックの運転手と、ドライブレコーダーを搭載したトラックの運転手はいずれも車外へ脱出し、けがはなかったという。
ペルーでは長年、エルニーニョ現象の影響で大規模な地滑りや豪雨に悩まされてきた。エルニーニョ現象は、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなる気象現象で、世界各地で異常な天候を引き起こす。ペルーの落石事故の原因についても、豪雨によって地盤を不安定になっていた可能性が指摘される。
ペルー国立気象水文局(Senamhi)は、エルニーニョ現象によって平年を上回る降雨が発生し、2023年3月に発生した「サイクロン・ヤク」と同程度の被害をもたらす可能性があるとして、警戒を強めている。サイクロン・ヤクによって、6,000軒以上の家屋が破壊され、計84人が死亡した。さらに、洪水が原因でデング熱が流行し、保健省が同年5月10日、国内25地域のうち20地域に健康上の緊急事態を宣言したほどだ。アルベルト・オタローラ首相は、エルニーニョ現象に備えた被害防止対策に特別予算を割り当てた。
ペルーと南部で国境を接するチリでは、2024年2月に大規模な森林火災が発生した。この火災では100人以上が死亡し、数百人が行方不明となったが、エルニーニョ現象によって引き起こされた干ばつと乾燥が被害を拡大したとされる。
エルニーニョ現象の影響は日本にも及び、2023年には記録的な猛暑や暖冬となった。他国で起こった災害は日本でも起こり得る以上、車を運転中に落石が発生した場合にどう対処するかを予め考えておくとよいだろう。
参考:「The Daily Mail」、「Peru Reports」、ほか
文=標葉実則
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提供元・TOCANA
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