『猿の惑星』は、1963年、ピエール・ブールによって書かれたSF小説であり、1968年には同名で映画化もされた作品である。宇宙飛行士たちが謎の惑星で目撃した、言葉を話す猿とその彼らに支配される人類、そんな「立場の逆転」という描写から人種差別の問題をえぐり出した風刺的なSF作品として名高い。
世界的に大ヒットした作品となり数々の亜流作品を生み出したことでも知られ、日本版猿の惑星とも言える作品『猿の軍団』(1974-75)をかの円谷プロが制作したほどであった。現在までに、旧シリーズ・新シリーズ含めいくつもの映画が制作されており、2024年にも新作が公開予定であるとのこと。
この「猿の惑星」では、作中に登場する人語を介した猿のモデルが日本人なのではないかという説が唱えられている。それによれば、フランス人が第二次大戦中にインドシナでアジア人を労働力として使っていたところに日本軍が攻め入り、逆に日本人の捕虜になってしまったという”フランス人である原作者の経験”に基づいて執筆されたというのだ。
また一説には、日本人に侮辱的だと取られかねないか心配したものの、日本でも公開されヒットとなり、関係者も驚いたとも言われている。
この説は、公開後からおよそ半世紀にわたって唱えられてきたものであるというが、一方で全くの捏造であるという反論も存在している。
噂に言われる、著者のピエールが捕虜として捉えられたという点については、捕虜収容所ではなく刑務所であったという。しかも、この時ピエールは連合国側であるフランス自由軍として活動をしており、彼を捕らえたのは本国のヴィシー政権であり日本人ではなかったというのである。要するに、フランス政府によって反体制側のフランス人が捕まったということだ(日本軍に捕らえられたのちに政府軍へ身柄を引き渡されたとの説もあり)。
この他にも、「猿の惑星」以前に日本兵とイギリス兵の交流を描いた『戦場にかける橋』(クワイ河の橋 1957)というピエール作の映画が公開されており、尊厳ある人間として日本人を書いていることから猿=日本人がモデルは考えにくいとの推察もある。
ただし、その一方で本作内では明らかに日本人を見下した表現がなされており、日本人を含む東洋人に対し、「黄色いヒヒ」「この類人猿の一匹」「ゴリラのよう」といった例えが多数見られるという主張もあり、「同作者による物語の表現として短絡的に日本人蔑視に結び付いた」という説と「潜在的に日本人蔑視がなされている」という説に二分しているようである。
余談であるが、映画の舞台ともなっている実際のクワイ橋の建設は、その架橋工事自体はほぼ日本軍が行なっており、イギリス人捕虜は資材の運搬など単純労働のみであったという。
グレムリン伝説など、東洋人あるいは日本人がモデルとなっていると考えられている伝承や逸話は、これまでいくつも挙げられている。「猿の惑星」を含め本当に日本人がモデルとなっているかについては定かではなく、作者自身明言することがなかったため推測するほかない。
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文=ZENMAI(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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提供元・TOCANA
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