今まではどうだったのか?
短期間で集中的に自社のレーベルを使いフェアを駆使してミステリー・サスペンスのジャンル、とりわけ復讐を冠した作品を推し進めているが、今まではどうだったのか。
コミックシーモアの青年マンガで、作品に関連する上位10ジャンルが以下のようになる(「復讐」というジャンルは存在しない)。
対極にあるような「ギャグ・コメディー」や、異性を感じさせる「ラブストーリー」「お色気」「ラブコメ」といったジャンルよりも、関連作品数がかなり少ない。青年マンガでは過去にあまり力が入れられていないジャンルである。
では、異なる主要読者層と比較してみるとどうだろうか。
読者層別では女性マンガとほぼ横並びながら、わずかにミステリー・サスペンスは青年マンガが作品数でトップではあるが、復讐の関連作品は女性マンガの半分以下にとどまっている。
さらにコミックシーモア以外の、作品数の集計ができるコミックサイトと「復讐」の関連作品を比べてみた。
いくつかのサイトと比較すると、コミックシーモアだけ青年マンガの復讐関連作品数が他の読者層より少ないことが見てとれる。
憶測ではあるが、コミックシーモアとしては「青年コミックにも『復讐』関連の作品を増やそう」と以前から考えていたのではないだろうか。そして、掲載作品を吟味するうちに「ただ作品を増やすだけでなく、一大プロジェクトを推進しよう」と実施。「作品を独自のレーベルでそろえよう」「配信日もそろえ、ジャンルとして固定読者を獲得しよう」「フェアを連続で開催して読者の注目を集めよう」、といったところだろうか。
なかなか大規模な仕掛けである。現在開催中のフェアが終了後も引き続き、復讐に関連するフェアが続く可能性は高い。このままコミック界に、復讐という一大ムーブメントを巻き起こすか、夏以降もコミックシーモアから目が離せない。
なお、本記事では今後数回にわたって、そんなコミックシーモアが推す「復讐」というジャンルから作品をいくつか紹介していきたい。(BCN+R コミックランキングリサーチ部)
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