ネタニヤフ首相によれば、反イスラエル運動に参加する者は、「反ユダヤ主義者」でもある。したがって数世紀にわたる「ホロコースト」などのユダヤ人虐殺の歴史の流れに位置付けて、糾弾していかなければならない。ネタニヤフ首相によれば、ICC(国際刑事裁判所)も非難されなければならない。その他、イスラエルが国際法違反に該当する行為を行っていると語る者は全て(つまり国連や多数のジャーナリストや流している画像や動画を含む情報の全ては)、嘘つきの反ユダヤ主義者である。

ネタニヤフ首相によれば、ガザでの戦争が終わった後は、イスラエルはパレスチナ武装勢力の非軍事化・非急進主義化を行い、それから「第二次世界大戦後のドイツや日本のように」イスラエルと平和にやっていくようなパレスチナ人たちのみに、統治をさせる。この政策を遂行するために、イスラエルは、「アブラハム合意」を結んだアラブ四カ国とともに、「アブラハム同盟」なるものを形成するのだという。

そしてイスラエルは、アメリカとともに、独裁者とテロリストを殲滅するために、戦い続ける、と宣言する。

「われわれは勝利するまで戦う。自由が独裁に対して、生が死に対して、善が悪に対して、勝利をおさめるまで、戦い続ける。それがわれわれの誓いだ。」

終わりなき「対テロ戦争」が、2021年のアフガニスタンからの完全撤退で、ようやく終わったかのように誤認した者たちは、かくしてネタニヤフ首相から叱責されなければならない。

「文明と野蛮の間の戦い」で、「文明」側の最高指導者として指揮をとるネタニヤフ首相は、テロリストとの戦いに完全勝利をおさめるまで、どこまででも戦い続ける。異議を唱える者などは、イランからの資金援助を受けたテロリストだろう。

ところで日本は、このイスラエルとアメリカが主導する果てしなき「文明と野蛮の間の戦い」あるいは「善と悪の間の戦い」としての「テロとの戦い」及び「独裁者との戦い」に、関わっているだろうか。

日本政府首脳によれば、日本は、イスラエルと「連帯」している。安全保障あるいは諜報活動をめぐる政策で、イスラエルと深く関わっている領域もある。

日本の国力が疲弊する中、大変な覚悟である。私としては、日本の未来にも悲観的にならざるをえない。

バイデン大統領と会談するネタニヤフ首相 同首相インスタグラムより