12年間という歳月と約1億円を費やして研究開発された“安楽死カプセル”が遂に完成し、最初の“利用者”を待ち構えている。中に入って寝転がり、ハッチを閉めたらボタン押すだけで安楽死へ誘われるというこのマシンだが、条件が揃えば年内にも最初のボタンが押されることになるという――。
■“自殺カプセル”の運用準備が整う
2019年に初めて公開された「サルコ(Sarco)」と呼ばれる機器は、カプセル内の酸素を窒素に置き換え、中に入った人間を低酸素症で安楽死させる“安楽死カプセル”である。
スイスの安楽死支援団体「ラストリゾート」は先ごろ、スイスでこの“安楽死カプセル”の運用準備が整い、年内にも医師の監視なしで安楽死をもたらすことになると発表した。
ラストリゾートは、スイスではサルコの使用に法的障害はないと述べ、スイスでは本人が自らの意思で致命的な行為を及ぶ場合、法律で一般的に自殺ほう助が認められていると説明している。
「酸素なしの空気を吸い、永遠の眠りに落ちるという、これ以上に美しい死に方は想像できない」とラストリゾートのフロリアン・ウィレット最高経営責任者は記者会見で述べている。
サルコを開発したオーストラリア出身の医師のフィリップ・ニチケ氏は、中に入ってボタンを押すと、空気中の酸素の量が30秒以内に21%から0.05%に急激に減少し、意識不明の状態が約5分間続いた後に死に至ると説明する。
サルコはカプセル内の酸素レベル、患者の心拍数、血液の酸素飽和度を監視しており、患者がいつ死亡したかはすぐにわかるということだ。
カプセルに入ってハッチが閉じられると音声が流れ、あなたが誰なのか、どこにいるのか、ボタンを押すと何が起こるのか知っているか、などの質問をされ、この時点で気が変わったならばカプセルから出ることができるが、一度ボタンを押したら後はキャンセルは不可能である。
またボタンは手動で押すほかにも、音声指示や目の動きでも作動させることができるという。ちなみに“利用者”が支払う費用は18スイスフラン(約3200円)である。
スイスのメディアはこの“安楽死カプセル”を使用する準備ができていると報じているが、「Anomalien.com」に記事によれば州検察官のペーター・スティッヒャー氏は、患者がそのようなカプセルを使用するのを手助けした(医師以外の)者は最高5年の懲役刑を宣告される可能性があると警告している。
スイスで安楽死を遂げた日本人女性のドキュメンタリーも話題になったが、この“安楽死カプセル”の登場は倫理的問題を提起し、安楽死に関する議論を再燃させているようだ。
はたしてこの“安楽死カプセル”年内にも実際に運用されることがあるのか、いろんな意味で注目せずにはいられない。
参考:「Anomalien.com」、「Sott.net」ほか
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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