バイデン大統領とトランプ前大統領間のこれまでの大統領選では高齢問題が焦点になってきたが感がある。81歳のバイデン氏も78歳のトランプ氏も高齢者だ。現在の世代の問題を扱う政治家ではないということから、「どちらの候補者にも投票しない」という“ダブルヘイターズ”(Double Haters)が米国の有権者の約30%になると受け取られてきた。
それが今月21日、現職のバイデン大統領が大統領選から撤退すると表明したことから、戦いはバイデン大統領から全面的支持を得たハリス副大統領とトランプ氏の戦いとなった。
その結果、ダブルヘイターズの反応にも変化が見られるかもしれない。ドイツの民間ニュース専門局ntvのウォルフラム・ワイマー記者は23日、「ダブルヘイターズはハリス副大統領の出馬を歓迎するかもしれない。ピューリサーチのデータによると、アメリカ人の4分の1がバイデンもトランプも悪い候補者だと考えており、過去10回の選挙で最も高いダブルヘイターズの割合であった」という。その「悪い候補者」の一方、バイデン大統領が大統領選から撤退したことで、59歳のハリス副大統領に「ダブルヘイターズの票が流れる可能性が出てきた」と分析しているわけだ。
米大統領選は民主党と共和党の2大政党の争いだ。世界観、国家観、経済政策などが問われることになるが、これまでの大統領選では81歳のバイデン氏の大統領職務履行能力に関心が集中し、共和党と民主党の政策論争はほとんど話題とならなかった印象を受ける。
バイデン氏が民主党内の撤退要求に押されたこともあって大統領選レースから離脱したことを受け、米大統領はようやく大統領の高齢問題から解放され、民主党・共和党の政策論争が展開できるチャンスが到来したわけだ。