マジックは、観客をアッと驚かせるエンターテイメントだが、時として失敗することがある。危険なマジックだと、その失敗は大惨事を引き起こしかねない。そんな事故を撮影した映像を海外の動画共有サイト「TheWorldWatch」から紹介しよう。
2024年3月に公開された映像は、2018年11月にスペイン・マドリードの広場で撮影されたものだ。マジシャンのペドロ・ボルタさんが満水の水槽に沈んでいる。大勢の観客が見守る中、ボルタさんは水槽内で動き、その度に蓋の間から水が零れ落ちる。ボルタさんが蓋を持ち上げようとするが、数十秒後、動かなくなってしまった。異変に気付いたアシスタントらが蓋を外し、ボルタさんを水槽から外へ出そうとするのだった。
当時の報道によると、映像が途切れた後、ボルタさんは2分間水中にいて溺死寸前のところで救出され、治療のため病院に搬送されたという。4分間の心肺停止状態に陥ったものの、救助隊員の処置によって奇跡的に蘇生した。
ボルタさんは、拘束衣の最初のバックルを外すのに時間がかかりすぎて、マジックが失敗したと語った。また、死なずに済んだことを「とても幸せ」と語り、観客にショックを与えたことを謝罪した。一方で、「マジックは素晴らしい芸術であり、それだけの価値がある」と信じているため、今後もマジックを続けるつもりだと述べた。
ボルタさんが行ったような水中脱出マジックは、1926年に亡くなった伝説のマジシャン、ハリー・フーディーニが広めた。フーディーニの最も有名なマジックの一つに、水を満たした大きなミルク缶の中からの脱出術がある。「失敗は溺死を意味する」とされるこのマジックは、他のマジシャンにも受け継がれていったが、本当に溺死してしまうケースもあった。
2019年6月16日には、インド西ベンガル州コルカタで、マジシャンのチャンチャル・ラヒリさん(当時40)がフーグリー川で水中脱出マジックに挑戦した。ラヒリさんは、ロープと鋼鉄の鎖で手足を縛られた状態でクレーンによって川へ吊り下げられたまま、水面に姿を現さず行方不明となった。観客らの通報を受けた警察は当初、マジックの一環と考えていたが、事態を把握した後に捜索を開始した。翌日17日夜、現場から約1キロ離れたところにラヒリさんの遺体が打ち上げられた。
ラヒリさんは事故から20年以上前、ガラス箱に入った状態でフーグリー川に落とされた後、脱出に成功したという実績があった。16日のマジックでは「成功すれば、それは魔法だ。もし失敗すれば、悲劇になる」と豪語したが、結局は悲劇を引き起こしてしまった。
命懸けのマジックは観客を大いに沸かせる一方で、失敗したときのリスクは甚大だ。それでも挑戦するマジシャンは後を絶たないし、今後も事故は起こり続けるだろう。
参考:「Newsweek」、「BBC」、ほか
文=標葉実則
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提供元・TOCANA
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