1990年代、空を十字に横切り、通常よりも長く残る航空機雲は、実は政府によって意図的に散布された化学物質の軌跡であるという疑惑が囁かれ始めた。

 今では「ケムトレイル」と呼ばれるこの不可解な飛行機雲については、化学兵器や生物兵器の実験から気象改変まで、さまざまな目的で散布されているという説が提唱されてきた。一時期はオカルト好きな人の間で知られる存在だったケムトレイルだが、ここ数年は様々な陰謀論と共に日本国内のSNSでも語られるようになってきている。

 そんなケムトレイルとの関係が疑われる奇妙な法案がアメリカはテネシー州で可決されて話題になっている。

 今週、テネシー州議会上院は「化学物質、化学化合物(または物質)の意図的な注入、放出、または拡散を、いかなる手段によっても禁止する」ことを目的とした新法案を可決したと発表した。見ての通り法案では「ケムトレイル」という言葉が明確に使われてはいないものの、「意図的に大気中に化学物質を拡散させること」を禁止する文面が盛り込まれているため、暗にケムトレイルの事を指しているのではないかと言われている。

 当然ながら、ケムトレイルは存在しないというのが現在の定説だ。この法案について意見を求められたラトガース大学の気候科学者アラン・ロボック氏も、「空を見上げると飛行機雲が見えることがありますが、あれはただの水でできています。 冬に息を吐くと、口の前に小さな雲が一瞬だけ見えるのと同じで、 暖かく湿った空気と冷たく乾燥した空気が混ざっているものであり、長く残ったからといって体に有害なものである訳ではありません」と述べる。

 また、今回の法案についても「例えば何者かがケンタッキー州でケムトレイルを作り、それがテネシー州上空を漂ったとしたらどうするんでしょうか?この法案に何の意味があるのか解りません」と懐疑的な姿勢を崩していない。

 ちなみに現在、ペンシルベニア州当局もテネシー州と同様の法案を検討しているようだ。いずれにせよ複数の州でこのような法案が急に出されたのは興味深い事であり、何故突然の化学物質散布への懸念が出てきたのかも解っていない。この法案が通り、実際に違反者が出てきて初めて法整備がなされた理由が明らかになるのだろうか。

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【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】

文=飯山俊樹(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

提供元・TOCANA

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