第二次世界大戦時、大日本帝國海軍によって建造された、全長263m、排水量64000tを誇る史上最大の戦艦であった戦艦大和は、その搭載されていた主砲も史上最大であった。45口径46cm砲を3門まとめた三連装砲は、それまでにあった戦艦の中でも最大、そしてその威力も他を圧倒するほどに強力なものであり、まさしく大和を象徴する存在であった。

ロストテクノロジー?史上最大の「戦艦大和の主砲」は再現不可能の超技術なのか
(画像=昭和16年(1941年)9月20日、呉工廠で最終艤装中の大和。 画像は「Wikipedia」より,『TOCANA』より 引用)

 この大和の主砲は、現在再現が不可能であると言われている。こうした現代の技術では再現不可能な失われた技術は、通称「ロストテクノロジー」と呼ばれている。例えば、日本刀は古刀と新刀に区分されるが、古刀は新刀に比べて折れにくく切れ味も鋭い。しかし、製造方法が口伝によって受け継がれていたことや、使用した鉄の割合や特定ができないため現在古刀を造ることができないと言われている。

 さて、大和の主砲であるが、主砲を造るには「専用の旋盤機」「素材の鉄鋼」「職人」が必要となる。

 旋盤機とは、金属塊や部品などを回転させながら削る機械のことだ。大和で使用されていた旋盤機は、幅5m、高さ5m、重さ219tという巨大なものであるが、奇跡的に現存しており、しかもいつでも使用できる保存状態であると言われている。

 だが、素材である鋼鉄については少々問題がある。大和で使用されていた鉄は「陸奥鉄」と呼ばれるものであり、現代では製造量が非常に少量となっており現状は不足している。製法は残っているため、なんとかして集められれば造ることは可能であろう。

 そして、一番の問題は職人の存在だ。大和の主砲は威力も凄まじいものであり、その分撃ち出す際の圧力もきわめて大きい。そうなると、その時代で最も硬い鋼材を使用しなければならなくなるが、鋼材を削ると摩擦熱によって劣化をしてしまう。そのため、頑丈さを保ったまま加工するには、適切なタイミングでの冷却と切削が必要となる。

ロストテクノロジー?史上最大の「戦艦大和の主砲」は再現不可能の超技術なのか
(画像=Enlightening ImagesによるPixabayからの画像,『TOCANA』より 引用)

 つまり、それほどに目の利く職人の存在が不可欠となるのだ。そして、この鉄鋼を削る職人が、大和の主砲を再現不可能にしている最大の問題点となっているのだ。

 大和の主砲が現代において再現不可能であるということは、前述の事情によるところが大きい。だが、なぜそのような技術が受け継がれなかったかについては、「不要となってしまった」という理由による。

 大戦末期にはミサイルやロケット弾の需要が高まったことで大砲の需要は失われ、時が経つにつれて日本の技術力も向上し、半分の口径で大和の主砲と同程度の威力を出せてしまうのだ。

 大和は、多額の費用をつぎ込んで建造された戦艦であり、実戦の機会をほとんど与えられずに「最終兵器」として温存されていた。だが、沖縄出撃の途上、坊ノ岬沖海戦で撃沈となってしまい、誕生と同時に時代遅れとも言われた悲劇的な戦艦でもある。

 大和の主砲建造は、失われた技術というよりも、いわば捨てられた技術であったと称する方が正確であるかもしれない。

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文=ナオキ・コムロ(ミステリーニュースステーションATLAS編集 部)

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提供元・TOCANA

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