今回のロレックス通信では夏本番! ということでロレックスの顔とも言えるサブマリーナーとシードゥエラーについて取り上げたいと思う。

ただ、取り上げるのは現行モデルではなく、1980年代から2000年代前半に流通した、サブマリーナーのRef.14060(写真右)、サブマリーナーデイトのRef.16610(中央)、そしてシードゥエラーのRef.16600(左)と、5桁レファレンス時代のダイバーズウオッチ3兄弟である。

ちなみに現行モデルはこれらの2世代あとに登場したレファレンスで「12」から始まる番号となる。

[サブマリーナー]Ref.14060(M) → Ref.114060 → Ref.124060(現行)
[サブマリーナーデイト]Ref.16610 → Ref.116610LN → Ref.126610LN(現行)
[シードゥエラー]Ref.16600 → Ref.116600 → Ref.126600(現行)

ではなぜこの時代をあえて取り上げるのかというと、ポイントは以下の四つ。

1)薄くて軽く着けやすい
2)サイズや質感など歴代モデルの雰囲気が残っている
3) ロングセラーのため流通数が多く中古の選択肢が広い
4)信頼性の高い3100系自動巻きムーヴメントが搭載されている

なかでも1項が一番のポイントだ。このレファレンスを境にケースやブレスレットの基本仕様がガラッと新しくなるからである。品質および堅牢性は向上している反面でケース径こそそれほど変わらないものの、ケースの厚みは増して、さらにブレスレットの中コマも中空から無垢に変更されて肉厚になるなど時計自体も重くなっている。つまり着けやすさで考えると5桁世代までがちょうどいいと言えるのだ。

参考までに公式な数値ではないものの実測値として5桁とその後継機である6桁レファレンスについてケース厚と重量を比較してみると次のとおりである。

[サブマリーナー]
Ref.14060(M) → (厚)約12.5mm、(重)約128g
Ref.114060 → (厚)約13mm、(重)約158g

[サブマリーナーデイト]
Ref.16610 → (厚)約12.5mm、(重)約135g
Ref.116610LN → (厚)約13mm、(重)約159g

[シードゥエラー]
Ref.16610 → (厚)約14.5mm、(重)約150g
Ref.116600 → (厚)約15mm、(重)約175g

また、5桁レファレンスの場合は製造期間がけっこう長いというのも特筆すべき点である。

[サブマリーナー|Ref.14060]
製造期間:1989〜2012年(2001年にマイナーチェンジで末尾にMが付く)
実勢価格:120〜140万円台が中心

[サブマリーナーデイト|Ref.16610]
製造期間:1989〜2010年
実勢価格:120〜160万円台が中心

[シードゥエラー|Ref.16600]
製造期間:1990〜2008年
実勢価格:110〜150万円台が中心

特にサブマリーナーデイトに至っては21年間も製造されていて人気も非常に高く販売量もかなり多かったことから、現在の中古市場での流通数も多い。そのためコンディションを比較して購入できるため、ビギナーにとっても手を出しやすいのである。

なお、シードゥラーについては防水性能がサブマリーナーの4倍に強化されているため、そのぶんケースの厚さと重さがプラスされる。そのため着けやすさという点でみると現行モデルよりは薄くて軽いが、日常使いには大柄な体型の人以外は正直厳しい。実勢価格的は魅力だがもし狙うのであればその点には注意が必要だ。


菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

ダイバーズウオッチ3兄弟。着けてしっくりくるのはやや小振りな5桁のこの時代!|菊地吉正の【ロレックス通信 No.259】
(画像=『Watch LIFE NEWS』より 引用)

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!