Membership of the 118th Congress: A Profile(CRS REPORT)

だがアメリカの大統領は、厳格な三権分立体制の下での行政府の長であるので、本来は法律家であるべき要素は相対的には低いはずだ。大統領任命の行政府のスタッフも同様だ。そこは議院内閣制で立法府の議員と重ねて内閣の構成員が形成される場合とは違う。

率直に言って、民主党の大統領候補がことごとく法律家であるという事実は、民主党が「ポリコレ」政党になっているという印象を補強する。良く言えば、原則的である。悪く言えば、綺麗ごとを並べ立てるが結果に責任をとらない。

カマラ・ハリス副大統領インスタグラムより

この点は、実業家から突然政治家になったトランプ前大統領とは、明確な対比をなす。副大統領候補のヴァンス氏も弁護士資格を持つが、上院議員に当選する前に、実業家としてキャリアを成功させている点が、一連の民主党候補群と異なっている点である。ちなみに前の共和党選出の大統領であったジョージ・W・ブッシュ氏も、実業家出身だった。

こうした経緯から、民主党候補の方が、一般に学者・評論家層に受けがいい。他方、経済問題を重視する者は、共和党候補に親和的だ。

一般に分断したアメリカと言われるが、それはあくまで「右」と「左」のイデオロギー対立を軸にして位置づけを評価しようとしたときの見方だ。北東部中産階級は民主党の基盤で、労働者と富裕層が共和党の基盤だとも言える。21世紀の格差社会の一つの現実だ。