PIPの存在

 アマゾンの人事評価をめぐっては、紛争も起きている。21年、アマゾンジャパンに勤務していた男性が不当解雇されたとして社員としての地位確認などを求めて同社を提訴。男性によれば、同社は男性に業務に必要なシステムの使用や会議への出席を禁止し、退職勧奨を行った上で、勤務成績が改善しなかったという理由で解雇したという。昨年9月には、アマゾンの配達ドライバーが過重労働や全国最低レベルの日当の是正を求めて労働組合を結成。22年10月14日付「FRIDAY DIGITAL」記事によれば、アマゾンジャパンに勤務していた男性は課題達成の基準が不明確なコーチングプランに参加させられ、業務改善の名目で圧迫面接や退職勧奨を受け、上司によるパワハラの疑いを人事に相談したところ、その相談内容が上司に筒抜けになっていたという。また、社内ではPIP(Performance Improvement Plan)と呼ばれる個人の業績改善計画が存在し、ノルマを達成しなければ退職を迫られ、退職を拒否すれば降格され、実際に多くのアマゾン社員がPIPによって退職しているという。この男性は「FRIDAY」の取材に対し、ストレスから頭痛や吐き気に見舞われ、病院で適応障害と診断され精神安定剤を服用しながらPIPを続け、何度も退職勧奨を受けていたと語っている。

「外資系は人事評価の基準やプロセスが透明化されているという印象を持たれがちだが、そこは各企業のポリシーによるので、企業によってまったく異なるというのが大前提。PIPは外資系ではよく使われる手法で、社員に達成不可能な目標を課して、数時間おきに『なぜ達成できないのか』などと詰めて退職に追い込むといったケースが多い。外資系企業の日本法人や日本支社の場合、本社から『いついつまでに何人解雇しろ』と具体的な数字とともに指示が来て、マネジャーは割り振られた人数をきちんと解雇しないと自分が評価を下げられたり解雇されるので必死になる。外資では解雇=悪という風潮は希薄で、さらなる成長に向けた最適なリソースの再配置というとらえ方。また、解雇した人に会社が提訴されても、米国企業では訴訟は日常茶飯事なので、ことさらに問題だとは認識されず、粛々とマニュアルに沿って対応するだけ、となる。そのあたりは日本企業の感覚とは大きく違う」(外資系IT企業社員)

(文=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

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