千葉県船橋市の習志野駐屯地を拠点とし、陸上自衛隊唯一の空挺部隊である「第一空挺団」は、その入団試験の厳しさなどから最精鋭部隊とも称されるエリート部隊である。『バキ』シリーズの作者である漫画家板垣恵介も、かつて所属していたのは有名な話である。その高い質の高さや戦闘技術などから、 かつてオウム真理教が乗っ取りを計画したこともあり、またある種の武勇伝とも言えるような数々の逸話や噂が存在している。

 いわく、元隊員が数千円欲しさに3階から飛び降り無傷で着地し、感心した上官が倍額を貸した。いわく、腿にとめていたナイフが腿に刺さったが包帯を巻くだけで訓練に参 加し続けた。いわく、 足元にでも落とせば粉砕骨折は免れないほどの重量を持つM2重機 関銃を空挺降下の際に誤って尻で踏んでしまうも、機関銃がひん曲がってしまった。いわく、4kgの小銃を抱えて走る一般部隊の隊員の後ろから、約16kgもの大砲を担いで笑顔で追い抜いて行った。上げればきりがないほどの第一空挺団の逸話は、あまりにも人間離れした体力や身体の頑丈さと強靭さを物語るもの で溢れている。 第一空挺団は、ヤクザも恐れる存在であるといわれている。スナックで絡んできたヤクザ集団に対して、「空挺団です」と名乗ると相手が黙り込んでしまうという噂まであり、それだけではなく「ヤクザ狩り」を行なっていた隊員もいたと言われている。ヤクザ狩りを趣味とし、勝利の証として金バッジをコレクションしていた者までいたというのだ。

 都市伝説としても語られる第一空挺団のヤクザ狩りについては、それにまつわるとある興味深い人物が存在していた。その人物とは、作間優一。2016年5月に67歳でこの世を去った彼は、 かつて空挺団に所属しており、日本航空123便が群馬県の御巣鷹山に墜落した日航機墜落事故の 際のレスキューでも有名になった人物である。当時、ニ曹という階級であった彼は、非常に屈強な人物として知られ、またあまりにも”凶暴”であったことから「悪魔軍曹」 の異名で自衛隊内に名を轟かせていたと言われている。

 そんな彼の逸話の中に、ずばりヤクザ狩りがあるのだ。それによると、歌舞伎町でヤクザを12人も血祭りにあげた、隊員が飲み屋でヤクザと揉めた際に当直腕章をつけたまま事務所に 乗り込んだ、 といったまさしく第一空挺団のヤクザ狩りの噂と同じような内容なのだ。この彼の逸話は、伝説として今も同期や後輩の間で語り継がれているという。

 悪魔軍曹として恐れられた彼であるが、「戦うなら指揮官は悪魔の下で」「悪魔と同じ塹壕なら生き残れる」 など、同期からの信頼は絶大なものがあったと言われている。趣味でヤクザ狩りを行なった隊員の話については真偽が定かではな いものの、少なくとも彼の行なったとされるヤクザ狩りは、 自分や仲間を守るためのものであったようにも見える。何より、第一空挺団にまつわるヤクザ狩りの噂は、 彼が発端となっていたのかもしれない。

【文 ナオキ・コムロ】

文=ナオキ・コムロ(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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提供元・TOCANA

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