アメリカで最も古い歴史を持つオートバイメーカーの「INDIAN MOTORCYCLE(以降:インディアン)」。
1901年に創業し、100年以上の歴史の中で数々の革新的な技術とデザインを生み出してきた。
現在のインディアンは、Scout、FTR、Cruiser、Bagger、Touring、DarkHorse、Eliteと7つのカテゴリーが設けられ、35機種がラインナップされている。
このインディアンのラインナップの中で人気を集めているのがScout(以降:スカウト)だ。
クルーザーというと、どっしり構えて鼓動感を楽しみつつ走るイメージが強い。
しかし、このスカウトは軽量でパワフル。ワインディングを気持ちよく駆け抜けることができるモデルなのだ。
そのため世界中で高い支持を受け、前モデルの発売から10年でユーザーは20万人増加、85カ国に設けられているディーラーは600を超えた。
インディアンの世界シェア拡大に大きな影響を与えたスカウトが、このたび10年ぶりにフルモデルチェンジが遂行された。
試乗の様子は後日詳しくお伝えするとして、発表会の当日の様子を紹介していこう。
シンプルでカスタマイズしやすいデザイン
スカウトはインディアンの歴史を語る上で非常に重要となるアイコニックなモデルだ。
1920年に登場したスカウトは高い信頼性と性能から瞬く間に人気となり、なかでも101スカウトはより高性能なモデルとして認知されていた。
この101という名称を引き継いだモデルが今回のフルモデルチェンジに合わせてラインナップされたことからも、インディアンがいかに新型スカウトに力を入れて開発し、自信を持っているかをうかがい知ることができよう。
ステアリングヘッドから始まる流れるようなライン
シンプルを求めてデザイン&設計されているのは、カスタムすることを考え作られているからだ。
新しいスカウトをデザインするにあたり、多くのディーラーはもちろんインディアンのユーザーの方々にも調査を実施。さらにカスタムショップやカスタムビルダーにもいろいろとアドバイスをもらっている。
エンジン単体でも美しい造形
遠くからバイクを見たとき、「これはインディアンだな」と認識できることが重要だ。
新設計のV型エンジンは、パワフルながらも扱いやすいよう調教されている。しかし、ユーザーが任意で選択できる電子制御の設定次第では、ベテランのライダーでさえも驚くようなジャジャウマっぷりをみせる。
バイクの中核をなすフレームにもぬかりなし
バイクは骨格=フレームがマシンのできを大きく左右する要素だ。
新型スカウトではフレームも完全新設計。カスタムのしやすさも考慮してスチールフレームを採用している。
水冷エンジンに不可欠のラジエターは、パーツ単体で見ても大きな部品だ。このラジエターをフレームの間にコンパクトに配置することで、1920年代に登場したスカウトのプロポーションを現在の車両デザインにうまく落とし込まれている。
職人の手で三次元化されたクレイモデルの重要性
バイク、クルマを始め、あらゆる造形物を設計するときにCAD(Computer Aided Design:コンピューター支援設計)は欠かせない存在だ。
当然この新型スカウトでもCADは用いられているが、重要なのはその造形を実際の形におこすこと。
バイクの3次元的な形状を実態のある形にすることで、跨がった時にライダーから見える造形、足着き、重さなどをリアルに感じることができる。
その三次元化で必須となるのがクレイモデルだ。
1940年代〜60年代のクルマのデザインをモチーフとされる新型スカウトは、職人の魂のこもった手によってマッシブで流麗なスタイリングを手に入れた。