テクノロジーの発展により、昨今は遠隔操作による飛行や自動離着陸が可能な“無人航空機”が世界各国で活用されている。現在、こうした無人航空機は機災害救援や国境警備、物資輸送などのさまざまなミッションをこなしており、今後もさらなる活躍が期待されている。

今月16日には、HIEN Aero Technologiesがスイスの無人航空機メーカーであるSwissdrones AGとヘリコプター型タービン無人機(UAV)の販売に関するパートナー契約を締結するとともに、日本での販売開始を発表した。

無人航空機の実用化に向けた動きが加速するなか、米国の無人航空システム開発企業General Atomics Aeronautical Systems(以下、GA-ASI)は、カナダの航空機エンジンメーカーであるPratt & Whitney CanadaのPT6 Eシリーズエンジンを搭載した自社の遠隔操縦航空機「MQ-9B」を初めて飛行させたことを発表した。

高い耐久性と長い航続距離を誇る「MQ-9B」

General Atomicsの関連会社であるGA-ASIは、1993年に設立された遠隔操縦航空機(RPA)システムのメーカー。信頼性の高いRPAシステム、レーダー、電気光学システム、関連ミッションシステムを設計・製造している。GA-ASIのRPAは米空軍、米陸軍、米海兵隊、米国土安全保障省、NASA、そのほか多くの国際機関に運用されており、飛行実績は800万時間を超えている。

Image Credits:General Atomics Aeronautical Systems

今回、同社が飛行実証に活用したMQ-9Bは、非常に長い航続距離、そして衛星通信のみの制御による自動離着陸を実現するRPAだ。耐久性が高く、あらゆる天候で最大40時間以上、衛星を介して地平線上を飛行し、持続的な情報収集、監視、偵察(ISR)を行う。

GA-ASIが開発した検出・回避システムと認証可能な地上管制ステーションを使用して、ほかの民間航空機と同様に通常の航空交通とシームレスに統合することが可能だ。

今回の実証では、PT6 Eシリーズエンジンを搭載したGA-ASIが44分間飛行を続け、模範的な操縦性と加速性を実証したという。

現在のMQ-9Bエンジンより33%出力を向上

MQ-9Bに搭載されたPT6 Eシリーズエンジンは、“あらゆる高度、あらゆる温度、あらゆる飛行において、正確で一貫したパフォーマンスを発揮する”とうたわれるターボプロップエンジン。高度なデュアルチャネル統合型電子プロペラ、エンジン制御システムを備え、MQ-9Bの現在のエンジンより33%の出力向上を実現するという。

GA-ASI代表のDavid R. Alexander氏は、このエンジンを選択する顧客は、低い維持費と、世界中に50か所以上のメンテナンス・オーバーホール施設があるというメリットを享受できると語った。

(文・Haruka Isobe)