今週中に、私の決定について国民の皆さんに詳しくお話しします。
まず、私の再選に向けて懸命に働いてくださった皆さんに深く感謝申し上げます。カマラ・ハリス副大統領には、これまでの仕事で素晴らしいパートナーでいてくれたことに感謝したいと思います。そして、私に信頼を寄せてくれたアメリカ国民の皆さんに、心から感謝の意を表します。
私は今日も、常に信じてきたことを信じています。それは、アメリカは一緒に取り組む限り、何でも成し遂げることができるということです。私たちはアメリカ合衆国であることを忘れずにいれば良いのです」
当方はこのコラム欄で「バイデン氏の撤退は避けられない」と書いた。そして願わくは、バイデン氏の決定プロセスにも神が関与し、神の御心にかなった正しい決定が下されることを願ってきた。ちなみに、バイデン大統領はローマ・カトリック教徒であり、トランプ氏はプロテスタントの信者だ。
米国では大統領の就任式では聖書の上に手を置いて宣誓する。大統領就任初日から常に神の前に立っているのが米大統領だ。17世紀、英国から追われた清教徒たちはメイフラワー号に乗って神が予定した新大陸(米国)に渡り、神の国を建設していった話は有名だ。ピルグリム・ファーザーズは神に感謝し、船に積んで穀物の種を次の収穫期のために残し、空腹に耐えながら新世界の建設を始めていった。米国の歴史には神が常に関与してきた。
ところで、銃弾を受けたトランプ氏は立ち上がる時、「ファイト」を連呼し、支持者を鼓舞した。そして後日、「もし私がちょっと顔を動かさなければ銃弾は耳ではなく、頭に当たり、私は死んでいたかもしれない」と述懐し、神の救いに感謝している。
一方、カトリック教徒のバイデン氏は大統領候補の撤退を求める声に対して、「私は昔のように上手く演説できなくなったが、大統領としての過去3年半の実績を見てほしい」と述べ、撤退する意向がないことを繰り返し強調してきた。神がトランプ氏を暗殺事件から救ったことを聞いたバイデン氏は「私は神と(ホットラインで)結ばれている」と述べ、神の声に常に従う用意があることを示唆している。
トランプ前大統領は正式に共和党の大統領候補に指名された。一方、現職のバイデン大統領は81歳の高齢問題、それに関連して体力とメンタル両面で衰えを隠せないこともあって、党内外から大統領レースからの撤退を求める声が高まっていた。
バイデン氏は撤退表明の中で「私の党と国の最大の利益のために再出馬せず」と述べている。バイデン氏の大統領選撤退表明のニュースが伝わると、民主党関係者には「バイデン氏は真の愛国者だ。米国のために決定した」と評価する声が聞かれた。誰一人として「バイデン氏は撤退を強いられた」とは述べていない。バイデン氏の真意は多分、愛国者としての決意と撤退を強制された結果の間に揺れていたのいかもしれない。
トランプ氏は今回、暗殺未遂事件を通じて神から刻印を押された候補者となった。多くの米国民は神がトランプ氏を救うために直接関与した出来事を画像を通じて目撃した。一方、トランプ氏を救った神の業にバイデン氏は自身へのメッセージも含まれていたことに気が付いたのかもしれない。バイデン氏は神が関与したトランプ氏を再度打ち破る確信が薄れていったのではないか。
神が「大統領レースに留まれ」と言えば、バイデン氏はたとえ体力が尽きたとしても大統領選を継続したはずだ。演説がうまくできなくなったとしても、事実認識で問題が生じたとしても、オバマ元大統領やナンシー・ペロシ元下院議長が「退陣しろ」と助言してきたとしても問題はなかったはずだ。バイデン氏はトランプ氏に働いた神の圧倒的なメッセージにもはや太刀打ちできないと考え、自分の代わりにハリス副大統領を支持すると表明したのではないか。
「神が良し」とすることと、「人間が良し」と考えることで一致することもあるが、異なる場合もある。人知を尽くして考えることは人の責任だが、最終的に決めるのは神の領域だ。バイデン氏の撤退決意を尊重したい。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年7月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。