物価上昇が続く反面、所得は横ばい……将来への金銭的な不安などから結婚や出産は「まだ早い」「ハードルが高い」と感じたり、「子どもは欲しくない」と考えていたりする人が多いのではないでしょうか。
少子高齢化社会が進みつつある日本では、その要因のひとつとして妊娠・出産の高齢化が指摘されています。シンクタンクであるニッセイ基礎研究所の調査では、2021年の平均初婚年齢は妻:29.5歳、夫:31.0歳、第1子出産(出生)時の平均年齢が母:30.9歳、父:32.9歳を示しているといいます。
若手社会人として日々奮闘する人にとって、結婚や子どもを産み育てることは、まだ少し先の未来と感じるかもしれません。しかし、妊娠・出産には‟タイムリミット”があることも事実です。
妊活に対する知識・理解の普及を目指して、ロート製薬株式会社が行った調査「妊活白書2023」から、20代男女が考える‟リアル”をみていきましょう。
ニッセイ基礎研究所|妊娠・出産の高齢化が及ぼす生物学的な影響とは?
未婚男女の半数以上が「子どもは欲しくない」と回答
18〜29歳の若年未婚男女400人に「子どもが欲しいかどうか」を質問すると、「現在子どもを欲しいと思っていないし、将来も欲しいとは思わない」との回答は55.2%でした。
男女別では、男性が59.0%、女性が51.1%となり、性差を問わず半数以上を占めています。
ロート製薬によると、子どもを望まない若年未婚男女は増え続けていて、6年目を迎えた今回の調査では初めて5割を超えたといいます。
このうち「将来考えが変わったとき子どもを授かれるよう、妊娠できる身体の状態を維持しておきたい」と答えた男女は、22.3%との結果に。
ロート製薬 妊活白書2023から引用
妊娠について年齢的な制約が大きい女性においては、25.5%と割合が増え、約4人に1人は未来の選択肢を広げたいと考えているようです。
また、子どもを望まないが、授かれる可能性を残したいと答えた女性のうち、5人に1人が「卵子凍結に興味を持っている」ようです。
女性のライフスタイルが多様化し、卵子凍結をしている芸能人などが話題になるなかで、興味・関心の高さがうかがえる結果となりました。
年収が平均値を超える女性は子どもを望む傾向に
一方、若年未婚女性のうち、年収が20代女性の平均である300万円を超える層を抽出すると、子どもを望まない人の割合が27.9%まで低下し、妊娠・出産を望む傾向があるようです。
なお、妊活を経て子どもを授かった経験のある女性の50.7%は、「妊活の影響で仕事やキャリアプランを変更する必要が生じた」と答えました。
また、76.5%が「仕事とのバランスを取りながら妊活を続けるのは大変」と、キャリアと妊活の両立に苦戦したといいます。
とくに女性にとっては、妊娠・出産が人生やキャリアプランに大きく影響を及ぼすことは間違いありません。将来的に子どもをもつことを「まだ早い」と考えていたとしても、妊娠・出産について正しい知識を得てライフプランを思い描くことが必要かもしれません。