実は意外と上手くいくことが多い一目惚れ

一目惚れは相手の顔と身体の魅力に反応しているだけ
一目惚れは相手の顔と身体の魅力に反応しているだけ / Credit: Unsplash

実験の結果、一目惚れをしたかどうかと関連があったのは、相手に対する情熱や親しみ、献身性の強さではなく、顔の良さと身体的な魅力度の高さだったのです。

具体的には、身体的な魅力度(5点満点)が1点上がると、一目惚れをする確率が約9倍高くなります。

つまり、一目惚れが起きるどうかかは、相手に対する情熱などの愛情を構成する要素とは関係がなく、相手のルックスによって決まっていると言えるでしょう。

また、一目惚れのしやすさには性差がありませんでした。

こうした結果を見ると、やはり一目惚れとは、ドラマや漫画のようなドラマチックな要素は薄いように感じられます。

このように相手の見た目に反応して、恋愛感情を抱いているだけなのだから、一目惚れから始まる恋愛関係は長続きしないと考える人も多いでしょう。

ところがこの疑問について調査した、蘭フローニンゲン大のディック・バレルズ氏(Dick Brelds)らの研究によると、一目惚れカップルが短期間で別れやすいという印象は間違っているという。

彼らは137組の夫婦または同棲中のカップルをランダムに選出し、結婚または同棲に至った経緯を尋ね、「一目惚れで恋人になったカップル」と「ある程度お互いに認知していて恋人になったカップル」と「長い友人関係を経て恋人になったカップル」に分類し、交際期間を比較しました。

すると調査の結果、一目惚れで付き合うようになったカップルは、他の経緯を経て恋人になった夫婦・カップルと比較して、特に別れやすい傾向はなかったのです。

なぜ単に見た目で惚れて付き合い出したカップルと、お互いをきちんと知り合う期間を持った上で付き合ったカップルで交際期間に差がでなかったのでしょうか?

これについては、見た目が意外と相手の趣味や性格を予測する際に、助けになっている可能性が示唆されます。

確かに趣味や性格は、ファッションにも影響を与えやすい傾向は考えられます。動きやすい格好を好む人は運動が好きだったり、この人オタクなんだろうなあと思う格好の人がいたり。

それは一種の偏見とも言えますが、多くの場合その印象は大きく間違ってはいないことが多いのでしょう。その点が一目惚れカップルの交際期間にも現れているのだと考えられます。

性格などの「類似性」は、相手との関係性を深め、恋愛関係に進むかに影響する重要な要素です。それをどういった手がかりから見つけるかは人それぞれです。見た目を手がかりにするのも決して間違った方法ではないでしょう。

見た目に惚れるというのは、なんだか軽薄な印象も受けてしまいます。しかし実際のところは、一目惚れもそんなに悪い恋愛の始まり方ではないのかもしれません。

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参考文献

Can People Really Fall in Love at First Sight?
https://www.psychologytoday.com/intl/blog/why-bad-looks-good/202201/can-people-really-fall-in-love-first-sight

Is Love at First Sight Real?
https://www.psychologytoday.com/us/blog/meet-catch-and-keep/201801/is-love-first-sight-real

元論文

What kind of love is love at first sight? An empirical investigation
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/pere.12218?campaign=wolearlyview

Love at first sight or friends first? Ties among partner personality trait similarity, relationship onset, relationship quality, and love
https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0265407507079235

The Friends-to-Lovers Pathway to Romance: Prevalent, Preferred, and Overlooked by Science
https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/19485506211026992

ライター

AK: 大阪府生まれ。大学院では実験心理学を専攻し、錯視の研究をしていました。海外の心理学・脳科学の論文を読むのが好きで、本サイトでは心理学の記事を投稿していきます。

編集者

ナゾロジー 編集部